3月から始まった国内女子プロゴルフツアー。10試合で9人の優勝者が出る大混戦で、ベテランの穴井詩が2勝する一方、ルーキーながらデビュー8戦目で優勝した神谷そらなど初優勝者が4人も誕生している。
勝みなみや畑岡奈紗ら1998年生まれ(同学年の早生まれ含む)の台頭以来、新人プロのツアー優勝が毎年続いている。そこで注目されるのが、「○○世代」の呼称だ。渋野日向子、原英莉花ら同じ1998年生まれが1期遅れて90期生として数多くプロに入ってくると次々に優勝、いつからか「黄金世代」と呼ばれるようになった。
さらに黄金世代のふたつ下の2000年生まれもアマ時代から鳴らした強者揃い。5月7日にメジャーを獲った吉田優利、古江彩佳、西村優菜、安田祐香らが、黄金に対抗して「プラチナ世代」と命名された。
ところが、これだけでは終わらなかった。2001年生まれの笹生優花が賞金ランク1位に輝くと「新世紀世代」、1999年生まれの稲見萌寧は女王になるも、黄金とプラチナの間でほかに突出した選手が少ないからと「はざま世代」と呼ばれた。
馬場咲希はどう呼べば?
新世紀世代の筆頭は昨年の年間女王・山下美夢有だが、さらに1年下の2002年生まれの岩井明愛・千怜が双子でツアー参戦し、史上初の双子での優勝を飾ると「ツインズ世代」と呼ばれた。
そしていま最も若い注目世代が2003年生まれの「ダイヤモンド世代」だ。昨年、川崎春花がメジャーでツアー初優勝し、年末には新人賞を獲得。同じ94期生でプロテストトップ合格の尾関彩美悠も負けじとルーキーイヤーに優勝。随分とド派手な名前をつけられたが、翌年プロテストに合格した神谷そらもダイヤモンド世代のため、“原石”揃いと言えそうだ。
ただ今後、新たな“呼び名問題”が出てきそうだ。
「2022年の全米女子アマで服部道子以来37年ぶりに優勝した2005年生まれの女子高生・馬場咲希(18)がプロデビューする時、何世代と呼べばいいのかツアー記者たちも今から頭を悩ませています。同世代には神谷そらの妹・神谷ももがいるし、さらに2歳下には三女の神谷ひなも控えている」(ゴルフ担当記者)
若手の台頭の一方で、今季はベテランの活躍も目立つ。穴井のほかツアー16勝の上田桃子、開幕戦で国内27勝目を飾った申ジエなどが徹底したフィジカル管理で飛距離で勝る若い選手たちと優勝争いを繰り広げている。畑岡や渋野のように、今後もニューヒロインが登場し、若くして世界を舞台に活躍する選手が増えそうだ。
取材・文/鵜飼克郎
※週刊ポスト2023年5月26日号