夏に向かって気温も湿度も上がってくるこの季節。同時に気になるのがカビだ。カビの中には有害のものも多く、感染症やアレルギーを引き起こす可能性もある。そこで、カビが原因となる代表的な感染症やアレルギー反応を紹介する。
カビが原因の主な感染症
肺真菌症
主なものは、肺アスペルギルス症。アスペルギルスやムコール、カンジダなどのカビが原因で発症。主な症状はせきやたんなどで進行は遅いが、通常の肺炎と見分けがつかないため、抗真菌薬を使うタイミングが遅れがちなのが厄介。
白癬菌
いわゆる“水虫”でカビによる感染症の中では唯一皮ふから感染する。かゆみや水疱、皮がむけるなどの症状が現れ、抗真菌薬で治るが、経皮感染のため家族の中に感染している人がいると何度でもうつる。
食道炎
カンジダというカビが食道の粘膜に付着することで炎症を起こす疾患。感染すると飲み込みにくい、胸がしみるなどの症状が現れる。放置していても治ることがあるが、違和感がある場合は抗真菌薬で治療する。
胃腸炎
カンジダが胃や腸で炎症を起こす疾患。進行すると胸のつかえなどの違和感があるが、初期症状はほぼない。慢性化すると疲労感が増し、甘いものがほしくなる傾向も。カビが原因とわかれば抗真菌薬で治療を行う。
髄膜炎
カンジダやクリプトコッカスというカビが原因。鳥のフンに混ざっているのに気づかず吸い込むなどして感染する。ステロイドの使用者やエイズ発症者など、免疫機能が低下している人は特に発症しやすい。
副鼻腔真菌症
アスペルギルス、ムコール、カンジダなどのカビが副鼻腔内に入り、その中で繁殖して炎症を起こす。高齢者や抗生剤を長く服用している人は感染しやすいといわれる。鼻漏や頭重感が起こり、治療は手術が基本。