「あなたを殺して私も死ぬ!」──お笑い芸人・小堀敏夫(ガッポリ建設)、55歳。2020年4月、ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)に出演し、ちょっとした時の人となった。いわゆる「バズる」というやつだ。しかし、その内容は決して誇らしいものではなかった。8か月近くにわたって小堀さんに密着した同番組は『52歳でクビになりました。クズ芸人の生きる道』とのサブタイトルをつけた。
ネット上は、度肝を抜く小堀さんのクズっぷりに沸いた。いわく、「こんなクズ見たことない」「本物だ!」と。その一方、故郷・群馬で暮らす小堀さんの母は、放送を見て泣いたという。そして、放送後に冒頭の言葉を電話口の息子に投げつけたのだった。
オンエアから3年が経ち、コロナ禍で世の中は大きく変わった。NEWSポストセブンは、その後の小堀さんを追って、埼玉県内のアパートへ向かった。家賃3万2千円の部屋でクズ芸人・小堀敏夫さんは、放送の舞台裏とその後の余波、そして現在の生活について語った──。【全3回の第1回】
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──『ザ・ノンフィクション』の放送から3年、放送後の反響やその後の暮らしぶりを伺いにきました。
本当に小学館の方? 何かの間違いじゃないかって、後輩の猫ひろしにも相談したんだよ。もう3年も前か、いやあ、あの放送を見て母ちゃんが泣いちゃってさ。親には「映画に出るんだ」って、嘘ついてたから。それが、「クズ芸人」だもん。
ホントはあんな風に出る予定じゃなかった。芸に実直なところをアピールして、次の仕事に繋がるようにしようと。番組のスタッフには最初、「印刷工場でバイトしてる」って嘘ついてたの。バイトやりながら、芸を磨いてるとかウケがいいじゃない。でも、あいつら(撮影スタッフ)ずっとついてくるもんだから、バイト行くって言ってパチンコ屋入るところも見られちゃって。
──それはバレますよ。
もう、ずっとビタづきでさ。弟子(魔法使い太郎ちゃん)に金借りるところまでついてきやがって。俺も堪え性がねえから面倒くさくなっちゃって、いつものまんまでいいやと。おかげで、ネットでは酷い言われようだったよ。「田舎に帰れ」とか「死ね」とか。「田舎に帰って死ね」ってのもあったな(笑)。
──当時、久本雅美さんや柴田理恵さんが所属する『ワハハ本舗』をクビになるという、衝撃の場面も密着されていました。18年間所属していたそうですが。
放送ではネタ見せをサボってばかりでクビになったって話になってるけど、実際はそうじゃないのよ。あんなことは、昔から何度もやってるんで。むしろ、昔のほうがもっと酷かった。ワハハの芝居で役もらってるのに、競艇行って本番サボったりね。まぁ、すっげえ怒られたけど。だから、クビはそういうのが直接的な原因じゃない。