「舞台から残り時間が確認できるんですけど、適当なことを言ってたら、あっという間に2分くらい経ってましたからね」

「舞台から残り時間が確認できるんですけど、適当なことを言ってたら、あっという間に2分くらい経ってましたからね」(西堀)

 同大会の8組のファイナリストに勝ち残るまでには、全出場者(今大会は133組)が挑む選考会、ベスト32から16に絞られるノックアウトステージ1回戦、そこからさらにベスト8に絞られるノックアウトステージ2回戦と、3つの関門がある。

 マシンガンズは2つのノックアウトステージにおいて、立て続けに「格上」を倒した。今年、大阪から東京に拠点を移した実力派のガクテンソクと、M-1ファイナリストでもある人気コンビ・ランジャタイだ。西堀は勝因をこう語る。

「THE SECONDとはいえ、他はみんなごりごりの現役ランナー。僕らは月に1、2回会って漫才するぐらいだから。そら、俺たちのほうがリラックスできますよね」

 西のベテランコンビ、結成28年のテンダラー・浜本広晃でさえ「初舞台くらい緊張した」と振り返ったように、多くの組が大会の雰囲気に呑まれる中、マシンガンズだけはまるで別空間にいるかのように、まさにマシンガンのごとくしゃべり倒した。

 2人が出会ったのは1996年、池袋のカルチャースクールが開設していた「お笑い講座」だった。北海道で大工をしていたものの芸人を目指して上京してきた西堀も、すでに芸人らしき活動をしていた大学2年生の滝沢も、お金がないという理由で同講座を受講していた。滝沢が説明する。

「お笑い関係の事務所に入れてもらうには、その事務所の養成学校に通わなきゃいけなかったんですけど、どこも何十万もかかる。カルチャースクールなら3か月で1万5000円くらいだった」

 だが、いざ受講してみると周りは年配者ばかり。若く、しかもプロを目指している受講者は2人しかおらず、必然的に距離が縮まった。そんな2人は1998年4月に正式にコンビを組み、漫才師としての道を歩み始める。ところが8年間は鳴かず飛ばずだった。西堀は「なんであんなにスベってたんだろう」と首を傾げる。

 ボケとツッコミも入れ替えたが効果はなかった。そんなある日、2人はある結論にたどり着いた。西堀が思い出す。

「滝沢が『どっちがどっちをやっても無理だから、最後、2人で言いたい放題言ってやめようか』と。それで小さいライブで、怒りをぶつけてね。素人が偉そうに芸人を判定してんじゃねえよ、みたいな。そうしたら、けっこうウケたんですよ」

 2人が好き勝手に放つ世間への苛立ちは「ダブルツッコミ」と称され、2000年代後半から、にわかに仕事が増える。人気番組への出演も相次いだ。しかし、「好景気」は長く続かなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月17日、東京・世田谷区の自宅で亡くなった西田敏行さん(時事通信フォト)
《俳優・西田敏行さん逝去》訃報を受けて一番に供花を届けた「共演女優」 近隣住民が見ていた生前の様子
NEWSポストセブン
現地時間の16日、ホテルから転落し亡くなったとみられている「ワンダイレクション」元メンバーのリアム・ペイン(31)。通報を受けて警察が駆けつけた際には、すでに蘇生の余地もない状態だったという(本人SNSより)
《目撃証言》「ワン・ダイレクション」ペインさんが急逝…「元婚約者」とトラブル抱え、目撃された”奇行”と部屋に残されていた”白い粉”
NEWSポストセブン
ワールドシリーズMVPも視野に
《世界一に突き進む大谷翔平》ワールドシリーズMVPに向けて揃う好条件「対戦相手に天敵タイプの投手がいない」、最大のライバルは“ドジャースの選手”か
週刊ポスト
「応援していただいている方が増えていることは感じています」
【支持者が拡大中!?】斎藤元彦・前兵庫県知事インタビュー「街頭で、若者からの支持を実感しています」
NEWSポストセブン
コンビ名はどうするのか(時事通信フォト)
「変えなくていいのか?」ジャングルポケット・斉藤慎二 残された2人を悩ます「コンビ名問題」
週刊ポスト
芸歴66年を迎えた石坂浩二
【石坂浩二ロングインタビュー】27才での大河ドラマ主演を振り返る「特別な苦労は感じなかった。楽しい思い出ばかりでした」
女性セブン
合法的な“落選運動”のやり方(イメージ。時事通信フォト)
【“裏金議員”の落とし方】公選法の対象外となる合法的な“落選運動”の注意点 「組織でやるのはNG」「根拠となる事実を提示」
週刊ポスト
10月17日、東京・世田谷区の自宅で亡くなった西田敏行さん
《逝去》西田敏行さん、杖と車椅子なしでは外出できなかった晩年 劇場版『ドクターX』現場が見せていた“最大限の配慮”
NEWSポストセブン
グラビアアイドルとしてデビューした瀬戸環奈さん(撮影/カノウリョウマ)
【SNSで話題の爆美女】1000年に一人の逸材・瀬戸環奈が明かす「グラビア挑戦を後押しした“友人の言葉”」
NEWSポストセブン
パリ五輪柔道女子金メダリストの角田夏実選手(時事通信フォト)
《ジャージめくって見せたバキバキ生腹筋》パリ五輪で柔道金・角田夏実、今後の去就「タレント活動の行方」「結婚願望」「3つの理想タイプ」
NEWSポストセブン
バレーボール女子日本代表監督の眞鍋政義氏が“火の鳥不倫”か(時事通信)
元女子バレー代表監督・眞鍋政義氏が騒動で初コメント「軽率な行動でご迷惑を…」 近く発表の新監督人事は
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「石破茂は保守かエセか」大論争ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「石破茂は保守かエセか」大論争ほか
NEWSポストセブン