食や環境への意識が高まる中、代替食品への関心も高まっている。そんななか、新たな代替食品として話題になっているのが「代替卵」だ。大手メーカーから発売されている代替卵は、アメリカ製造の脱脂アーモンドパウダーや国内製造の豆乳加工品を原材料とし、それぞれ植物油脂が加えられている。食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行さんが言う。
「風味や食感を本物っぽくするために、代替卵にも代替肉と同様にあらゆる添加物が使われています。なかでも、増粘剤として多用されるようになった『加工でんぷん』には注意が必要です。加工でんぷんのうち『ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン』『リン酸架橋デンプン』は、ヨーロッパでは発がん性があるとして、幼児に食べさせることが禁止されています。
ところが日本の原材料表示では、すべて『加工でんぷん』と一括表示されているので、見分けることが難しい」
代替卵があれば、代替シーフードもある。かに風味かまぼこは昔からある代表的な代替シーフードで、お手頃な“ほぼ本物のかに”として食卓に欠かせない存在になっている。かに風味かまぼこの場合、においや味に癖がない、すけとうだらなどが原材料に使われていることが多いが、より進化した最新の代替シーフードには、魚介類は一切使われていない。
例えば白身魚をイメージした家庭用のフィッシュフライ風や、えびをイメージした業務用のポップコーンシュリンプなども植物由来のもので、原材料として使用されているのは、代替肉と同じ大豆など。つまり遺伝子組み換え食材を使用している可能性がある。
また、天然の魚の代替品として、今後広く普及しそうなのが「ゲノム編集魚」や「培養魚」だ。ゲノム編集とは、生物を構成する遺伝情報であるゲノムを人為的に編集し、生物に従来とは異なる形質を獲得させる技術をさす。国際ジャーナリストで『ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?』著者の堤未果さんが言う。
「もともと自然に持っている遺伝子を破壊した真鯛やトラフグがいま国内で開発中。フグはすでにふるさと納税返礼品に出ています。満腹遺伝子を破壊し、いつまでも餌を食べ続ける過食症の魚は死亡率が高いけれど1.9倍速で成長するので経済的。でもそれを食べた私たちの体で何が起こるのか、長期的な試験はされていません」(堤さん・以下同)
ゲノム編集した魚は陸上養殖され、抗生物質の大量使用も懸念される。
「どんな抗生物質をどれだけ使っているのか、排水はどうしているのかは規則が緩すぎてまったくチェックできません。また、ゲノム編集については表示義務がないので、回転寿司店で出てきてもわからないし、スーパーで切り身で売られていても見分けることは難しいでしょう」