「巨人の4番」だからこそ、どんなポジションも受け入れなければならない──。5月24日、故障で離脱していた巨人の中田翔がジャイアンツ球場での三軍の試合で実戦復帰。原辰徳監督は25日の一軍復帰を明言した。24日のDeNA戦前には岡本和真がレフトの練習をしており、サード・門脇誠、ファースト・中田翔、レフト・岡本の布陣が実現しそうだ。
「門脇がサードで先発出場するようになってから、巨人は9勝3敗です。打率は1割台ですが、それを補って余りある守備力でチームを救っています。門脇の守備は“打率3割以上の価値”があると言っていい。24日のDeNA戦後、原監督は岡本のレフトの練習について聞かれ、『明日、楽しみに』と話しています。『4番・レフト岡本』で行くと考えていいでしょう」(プロ野球担当記者。以下同)
サードで2年連続ゴールデングラブ賞を受賞している岡本のポジションを動かすことには、ファンの間でも賛否が分かれている。
「4番というチームの中心は、同じ守備位置で打撃に集中させたいという考え方もあるでしょう。今年、阪神の岡田彰布監督が佐藤輝明や大山悠輔などのポジションを固定させ、現在首位を走っていますしね。ただ、原監督は現役時代、4番に座り続けながらも、チームのために複数のポジションを守った年がありました」
原辰徳は現役時代セカンド、サード、レフト、ファーストと4つの守備位置に就いていた。
ルーキーの1981年、セカンドでスタートしたが、中畑清の故障で学生時代から慣れ親しんだサードに回った。以降ホットコーナーを守り続け、1987年から2年連続ゴールデングラブ賞を受賞した。しかし、原が入団した時の監督で、1989年に再登板した藤田元司監督はレフトへのコンバートを命じた。
「藤田監督が『これがダメなら今度は塀の外だ』と宣告するほど、野球人生を賭けたコンバートでした。原が三塁から左翼、中畑が一塁から三塁、駒田徳広が外野から一塁へ回った。中畑は開幕早々ケガで離脱。そのため、勝呂博憲、川相昌弘と遊撃手争いをしていた岡崎郁が三塁に回って、勝負強い打撃を見せた。原も開幕5試合で5発を放つなど、チームのスタートダッシュの原動力になりました」