日本でコンビニエンスストアと呼ばれる形態の店舗が生まれて、半世紀以上が経つ。いまやただ物品を売る店というだけでなく、公共料金の支払い、コンサートチケット、宅配便、銀行ATMなどあらゆるサービスがある。いまや日本全国で5万店舗を超えるコンビニが存在し、年間売上高は百貨店のそれを上回っている。ところが、主に労働力不足から24時間営業の廃止を検討する動きがある。俳人で著作家の日野百草氏が、閉店や縮小を選択したコンビニオーナーが訴える危機と現実についてレポートする。
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「人手が足りません!助けてください!」
「誰でも!1時間でも!大歓迎!」
「あなたの都合にすべて合わせます!」
これ、すべてコンビニエンスストアのアルバイト・パート求人の張り紙である。ポップな仕上がりだが、実際のところは切実で、誰も働いてくれないから閉店、の危機にひんしている店もある。もちろん例は極端ではあるが、多くのコンビニの人手が足りない、いや働いてくれる人がいない、という問題は共通している。
「シフトが埋まらないという悩みは贅沢な悩みだ。埋まらないのではなく組めない、というのも贅沢だ。それはコロナ禍直後の一時的な段階までの話で、いまや店で働いてくれる人がいない」
都内で数件のコンビニを経営するフランチャイズオーナー、60代だが1日の大半は店舗に出ている。それも掛け持ちだ。
しかしそれも終わろうとしている。他の店舗は閉め、自宅兼の1店舗に集約するという。
「いずれ終活としてそうなるとは思っていたが少し早いようにも思う。しかし人が集まらない。本当に集まらない。ほんの数年ほどの話だが、あまりの急激な変化に驚いている。人手不足倒産や閉店は現実だ」
他で働くところがあるのならコンビニでは働かない
もちろん地域にもよる。店舗にもよる。しかし確実に深刻な人手不足、いや、不足というより「誰も働いてくれない」という事態があちこちで起こりつつある。
これについて日本フランチャイズチェーン協会は2022年「コンビニ各社における行動計画の進捗及び業界の取組状況」の中で、特定の大手コンビニによる策定として「急激な社会環境変化への対応遅れ」「課題を柔軟に対応する態勢の未整備」「本部・加盟店間での情報共有の機能不全」を参考に挙げている。