かつてフジテレビでは多くの花形アナウンサーたちが画面を彩り、“アナウンサー王国”と呼ばれた時代があった。今その“王国”に復活の兆しが見られるという。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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この1か月あまり、業界内で「フジテレビのアナウンサーがいい」「この春の異動で雰囲気がよくなった」などの声を何回か聞きました。
確かに今春は各番組のメインキャスターにいくつかの変化がありました。
主な番組では、『めざまし8』のメインキャスターが永島優美アナから、小室瑛莉子アナ(月曜~木曜)と岸本理沙アナ(金曜)に交代。『Live News α』のメインキャスターが内田嶺衣奈アナと小澤陽子アナから、堤礼実アナ(月~木曜)と海老原優香アナ(金曜)に交代。
『みんなのKEIBA』のキャスターが堤礼実アナから竹俣紅アナに交替。また、『Mr.サンデー』は6月25日の放送でメインキャスターが山崎夕貴アナから藤本万梨乃アナに交代することが発表されました。
特筆すべきは、若手を抜てきしているにもかかわらず大きなミスがないほか、業界関係者、視聴者の両方から評判がいいこと。どんな点が支持されているのでしょうか。
『ぽかぽか』効果で若手がハツラツ
業界内で評価の声をよく聞くのは、小室瑛莉子アナと岸本理沙アナの『めざまし8』コンビ。小室アナが入社3年目、岸本アナが2年目の若手らしい明るさと元気がある上に、「アナウンスも聞き取りやすい」などと言われています。さらに視聴者からも「番組が明るくなった」「若返った感が凄い」などの声が挙がっていました。
『Live News α』『S-PARK』に出演する2年目の松崎涼佳アナ、『みんなのKEIBA』に加えて『Live News イット!』で天気キャスターを務める3年目の竹俣紅アナも含め、「2~3年目の若手にチャンスを与えてフレッシュな姿を見せている」ことが春という季節にもフィットしているのかもしれません。
この若手アナ抜てきの背景にあるのが、今年1月にスタートした昼の帯バラエティ『ぽかぽか』。2年目の松崎アナ、2年目の岸本アナ、3年目の山本賢太アナ、4年目の渡邊渚アナ、3年目の小室アナの順で日替わり出演し、2時間の生放送で進行役を務めながら経験を積んでいる様子がうかがえます。
「昼の帯バラエティに日替わりで若手アナウンサーを起用する」という育成手法は『笑っていいとも!』と同じもの。だからこそ、「アナウンサー王国復活するのではないか」という声が挙がりはじめているのです。
若手アナウンサーたちは『ぽかぽか』以外でも、『めざましテレビ』『めざまし8』『ノンストップ』『Live News イット!』『Live News α』と各時間帯で生放送されている報道・情報番組にも出演。リポートやプレゼンテーションなどの経験を積んでいるほか、時に『ネプリーグ』の解答者など、バラエティにゲスト出演させて知名度を上げるような起用も見られます。
男性アナウンサーでも、3年目の山本賢太アナが、早くもイジられキャラが定着。2年目の勝野健アナ、今年入社の東中健アナと合わせたイケメンの“ケン”三兄弟として期待されています。