どうしたら小笠原先生のような医師に巡り会えますか?
【質問】父が母の介護をしています。遠方に住む私は何もできず。献身的な介護ですが疲弊していく様子が見られ心配です。在宅医療への不安は私より親の方が大きいでしょう。私の心配は、親の住む地域に、ひいては自分は自分が高齢になったときに、小笠原先生のような医師や医療スタッフに巡り合えるかです。心の通う(通わせられる)人と生活できるか、最期の不安を笑顔に変えて迎えられるのか……。本を読む間は「できる!」と思うのですが、現実はどうやって動いたら……?と。(50代・女性)
【小笠原先生の回答】
まず、本にも書きましたが、介護はいつ終わるかわかりませんから、お父様が塞ぎ込んだり疲れ果てたりしないように、任せられることはプロに任せることがとても大切です。「介護をしてあげたい」というご家族の思いは大切ですが、眉間にしわを寄せてつらい顔をしていると、患者さんもつらい気持ちになりますからね。
私はいつもご家族には、「身体を使う介護よりも、もっと大切なことがありますよ」と伝えています。それは身体を使わない心のケアです。「おはよう」と声をかけたり、一緒にテレビを見て笑ったり、話を聞いてあげたり、そばにいて同じ空気を吸ったりすることも、患者さんの心が暖かくなるように支える心のケアですからね。質問されたかたもぜひご留意ください。
その上で、どうしたら信頼できる在宅医に出会えるかという質問に答えますが、いちばんいいのは、訪問看護師に「どこの先生に診てもらうのがいいですか?」と聞いてみることです。しかも、1人ではなく、2人ぐらいに聞いてみると確実ですね。
もしも病院にいれば、病院の医師か看護師に、普通に聞くのではなくて、「あなた、もしくはあなたのご家族がこういう状態になったら、どうされますか?」と、目を見て聞いてみる。目を見れば、本当のことを言っているか、適当なことを言っているか、多少はわかるのではないでしょうか。
例えば、苦しくても抗がん剤を打ったら本当に長生きできるのか、あるいは痛みを取って最期まで家で笑って生きたいのか。自分の状況をなるべく正確に把握してよりよい決断をするためにも、必要なプロセスだと思います。
病院の医師によっては、ひとり暮らしで在宅医療なんて無理とか、こんな症状で家には帰せないと、端から相手にしない人もいますから、そうしたときはこの『最期まで家で笑って生きたいあなたへ』を医師に渡して読んでもらうといいと思います。