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朝日新聞元論説副主幹・恵村順一郎氏が明かしたパーキンソン病との闘い「便秘と震え、気づけば手足が…」

恵村順一郎氏がパーキンソン病との闘いを振り返る

恵村順一郎氏がパーキンソン病との闘いを語る

 60歳以上の100人に1人が罹患するパーキンソン病。高齢化が進むなか、今後20年で患者数は倍増するといわれる。治療法のないこの難病と闘う一人が、朝日新聞元論説副主幹で『報道ステーション』元コメンテーターの恵村順一郎氏(62)だ。揺れ動く記者魂と闘病生活、そして家族の絆を恵村氏が語った。

指で掻き出した

 最初に違和感を覚えたのは9年ほど前でした。左足が膨らんでいく感覚で、靴が小さく感じるようになった。ワンサイズ大きな靴に買い替えても“詰まる”感じが解消されず、おかしいなと。

〈2015年春、2年間コメンテーターを務めた『報道ステーション』(テレビ朝日系)を降板して論説委員の副主幹に着任した恵村氏。生放送の緊張が解けたからか、それまで抑え込まれていた不調が一気に表面化した。〉

 まず左の手足が震えるようになった。パソコンで記事を書こうとするとミスタッチする。右手だけで文字を打つようになりました。持病の腰痛も悪化して椅子に長く座れない。デスクワークは椅子の前後を逆にして座り、背もたれに胸を乗せていました。便秘もひどく、3~4日も便が出なくなり、市販の下剤を飲み始めました。

 困ったのは初対面の人と話をしたり、難しい内容の議論をしたりする際に手足の震えが出るようになったこと。『報ステ』を降りるまでなかった症状でした。

 異変に気づいた妻は「病院に行って」と心配していたのに、僕は真剣に向き合わなかった。当時、安倍政権が攻勢を強めていました。論説副主幹として国内政治や外交・安全保障分野の社説を担当していた僕にとってはまさに正念場です。2016年7月には参院選があり、この日まで走り続けるつもりでした。

 そして迎えた参院選当日。あの日は忘れられません。朝日の本社で投開票を見守っていると、経験のない悪寒と吐き気に襲われたのです。

 腹部が張って苦しく、詰まった便を出せば楽になる気がしましたが、下剤がまったく効かない。病院に行こうにも日曜日でやっていない。仕方なく会社のトイレに駆け込んで肛門に指を突っ込み、詰まっていた便を掻き出すと、便が次から次へと大量に出てきた。

 それでも気分は回復せず、当日はデスクとトイレを行ったり来たり。

 翌日、僕がチェックした社説に誤記が見つかった。この前後から心の余裕がなくなっていきました。周囲とぶつかることが増え、不眠が続いて疲れが抜けず、うつの症状が出てきた。

 腰痛はさらに悪化し、会社からの帰りに駅のホームで柱につかまって激痛に耐えました。こんな日々が永遠に続くのなら、早く楽になりたい。そう思ったものです。

「便秘」「腰痛」「手足の震え」──ある日、そんな言葉をパソコンに打ち込んで検索すると、「パーキンソン病」の文字が目を打ちました。

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