昭和のプロ野球の顔として活躍した江夏豊(75)と江川卓(68)。ともに奪三振で球場を沸かせる「剛腕」として鳴らしたふたりが、今回、久しぶりに顔を合わせた。今だから明かせる貴重なウラ話から現在のプロ野球界についてまで熱く語り尽くす!【全4回の第1回】
* * *
──おふたりは13年前にテレビ番組でご一緒されて以来だそうですね?
江夏:おおぅ、久しぶりだなぁ。
江川:ご無沙汰してます。
江夏:昔、ハワイで一緒に相撲を取ったよな。
江川:それ、言いますか。誰にも話してないんですけど、たしかCM撮影の合間でしたよね。
江夏:俺、それで足を捻ったんだよな。
江川:いやいや、僕が投げて捻ったんじゃありませんからね(笑)。
──おふたりは、ともにコントロールの良い速球派ピッチャーとして名を馳せました。
江夏:そう考えると、俺と江川くらいかぁ。
江川:先輩からそう言ってもらえて、光栄です。
江夏:そういえば江川と俺は、球種もストレートとカーブだけ。ほかの球種も投げられるものなら投げたかったけど、手が小さくて無理やった。
江川:僕も手が小さくて指が短いんです。フォークとかも投げられはするんですけど、試合で完全に使えるというまでにはならなかったんですよね。
江夏:江川のピッチングを見た時、あの時代に「天性」だけで投げてくる珍しいピッチャーに見えた。そういう意味じゃ、ずっとプロ野球を見てきたなかで江川というのは異質な存在だった。ましてや、所属していたのが巨人という外部からの声が色々と厳しいチーム。良い意味でも悪い意味でもマスコミの餌食になる巨人で自分を貫いたっていうのは、やっぱり敬服する。相当図太い神経じゃないかな。