《本日初日》──東京・歌舞伎座で、そう書かれた大きな赤い垂れ幕が、強風に打ち叩かれていた。6月3日に開幕した「六月大歌舞伎」。多くの歌舞伎ファンが足を運ぶのは、市川猿之助(47才)の“一家心中”騒動後、初めて迎えた主演舞台だったからだろう。
「もちろん代役ですが、かえって注目を浴びました。猿之助さんは現在、メンタル治療を専門とする病院に入院し、外出せずに籠もる日々だといいます。精神的な不調を訴え、うしろ向きの発言も見られるため、万が一があってはならないと、常時動向を見守られています」(捜査関係者)
6月3日、歌舞伎興行を担う松竹は次のように発表した。
《市川猿之助につきましては、今なお当局による対応が続いており、(中略)6月公演に引き続き、その後の出演も困難と判断し、10月までの下記各公演につきましても休演とさせていただきます》
事態が不透明な中での苦肉の対応だ。歌舞伎関係者は疑問を口にする。
「無期限休演とせず、復帰含みであることはどうなんでしょう。仮に罪に問われなかったとしても、歌舞伎の大名跡を名乗った市川段四郎さん(享年76)を失う事態を招いた猿之助さんの復帰へのハードルは低くありません。今後の澤瀉屋のことを考えるなら、司法の判断に移る前に、『市川猿之助』の名跡をどうするか、本人に決断していただきたい……」
6月中旬公開予定の出演映画は公開延期になり、7月の監修舞台や写真展も中止された。そんななかで人知れず、未発表だった大型舞台の計画も暗礁に乗り上げたという。
「猿之助さんが最近熱を上げていた、美しい顔立ちでスタイル抜群の俳優Xさんとの舞台共演が水面下で計画されていました。猿之助さんのたっての希望で、“ダブル主演”になる予定だったそうです」(芸能関係者)
「自分は特別。何をしても許される」
猿之助は、歌舞伎の名門「澤瀉屋」のリーダーとして演目の決定からキャスティングに至るまで、絶大な力を持ってきた。古典歌舞伎だけにとどまらず、新作歌舞伎や現代劇まで自ら興行を仕掛けられたので、影響力は一門内のみならず、現代劇の俳優や裏方スタッフにまで及んだ。手を握られる。キスをされる。下半身を弄ばれる。ベッドに誘われる──本誌『女性セブン』は猿之助の「濃厚セクハラ」の実態を報じてきた。澤瀉屋関係者が言う。
「猿之助さんが持つほうぼうへの影響力は絶大です。これまでにも、猿之助さんの不興を買って役を奪われたり、楽屋にさえ入れてもらえなくなったり、地方興行ばかりに回されたりした人がいました。自分が“明日仕事を失うかもしれない”“拒否したらクビになる”と思うと、その恐怖心に支配されて拒絶することができないんです」