SNSやマッチングアプリで別人になりすまし、金銭を騙し取る「ロマンス詐欺」の被害が後を絶たない。近著に『ルポ 国際ロマンス詐欺』があるノンフィクションライター・水谷竹秀氏が、1100万円を騙し取られた沙也香(28歳、仮名)を取材する中で、彼女を欺いた詐欺犯に直撃取材を敢行した。その一部始終をレポートする。(全3回の第3回。文中一部敬称略/被害をレポートした第1回から読む)
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中国語に堪能な沙也香は、「トニー」と名乗る犯人と中国語でやり取りをしていた。その中で、沙也香は何度か直接電話で話をしたことがある。彼の中国語はネイティブで、中国人で間違いないという。
私は犯人にアプローチしてみることにした。沙也香から犯人のLINEアカウントを送ってもらい、国際ロマンス詐欺の取材をしていること、そして沙也香から犯行の詳細を聞いていることを、中国語に翻訳して送った。すると、犯人から中国語で返信が届いた。
「何かお知りになりたいですか」
続いて、日本語のメッセージが送られてきた。
「水谷竹秀さんはあなたと話ができて嬉しいです」
翻訳アプリを使っているので、やや日本語が変だ。
「いい友達になれたら嬉しい」
「今江戸川区に住んでいます」
そしてなぜか、江東区のとある住所が送られてきた。江戸川区在住と語っているが、送られてきた住所は江東区だ。いずれにしても犯人の住まいだとでも言いたいのだろうか。