健康診断の数値が基準を超えたことなどをきっかけに始まる服薬生活。しかし、漫然と処方される薬のなかには、本当は必要がない“ムダな薬”や、飲むことで身体へのリスクが増す薬も存在する。
本誌・週刊ポストは薬剤師・長澤育弘氏(銀座薬局代表)監修のもと、状況によっては「本当は飲まなくてもいい薬」を一覧に示した。
まずは「血圧」「血糖値」などの数値を下げるために飲む薬だ。長澤氏が言う。
「高齢の高血圧患者が利尿薬を処方されて頻尿に悩んでいるケースは多い。心不全があって利尿薬しか選択肢がない場合は別として、ほかの降圧剤が使用できるならそちらを選ぶべきです。高齢者のなかには若い頃から同じ種類・量の降圧剤を飲み続けているケースも散見されます」
糖尿病薬については、米国老年医学会が「65歳を超えた高齢者の多くは、HbA1cが7.5%未満なら薬は避けたほうがいい」と指摘する。またコレステロールを下げる薬は、副作用のリスクが懸念されている。
「薬で一時的に下げても、動脈硬化リスクなどは生活習慣を変えないと改善できません。脂質異常症薬は横紋筋融解症のリスクもある。降圧剤や糖尿病薬に比べても、中止しやすい薬です」(同前)
また、長澤氏が懸念するのは「多剤併用」の問題だ。
「内科、整形外科など複数のクリニックに通う高齢者ほど多剤併用になりやすい。利用する調剤薬局も複数だと、重複している薬に誰も気づけない場合があります」