「しっかり食べて無理なくやせる」「食べたいものをがまんするストレスが体に悪い」……そんな常套句で自分を甘やかしていては、今年の夏も太ったまま。まずは、おいしくて、体に悪くて、あっという間に太る“最大の敵”、バターと決別する必要がある。
バターの成分は98%が脂肪で、燃焼できなかった脂肪は肥満のもととなる「体脂肪」としてどんどん蓄積される。「もう、金輪際バターは買わない」と決意しても、それだけでは真の“バター断ち”にはならない。外食のメニューはもちろん、スーパーやコンビニで売られている食材にもバターをふんだんに使ったものは、思っている以上に多いのだ。管理栄養士の望月理恵子さんが言う。
「オムライスやナポリタンなど、洋食のメニューにはほとんどバターが使われています。また、クロワッサンやロールパンといった見るからにバターがたっぷり使われているものでなくても、ごく普通の食パンやフランスパンなどにもバターは入っている。原材料の表示があればチェックすることをおすすめします」(望月さん・以下同)
完全に取り除くことは難しいが、少しの工夫でバターの量を減らすことはできる。望月さんがすすめるのは、ほかの油に置き換えて調理することだ。
「ムニエルなど加熱が必要なメニューには、酸化しにくいオリーブオイルやココナッツオイルを使うといい。クリームシチューやホワイトソースも、オリーブオイルで代用できます。バターのこってり感が欲しいときは、代わりにヨーグルトや豆乳を加えると味に深みが出ます」
パンはそれ自体にバターが使われているため、さらにつけて食べることは、できるだけ避けたい。アメリカではいま「アボカドトースト」が流行しているという。米ヒューストン在住で、日本ナチュラル・ハイジーン普及協会会長の松田麻美子さんが言う。
「バターの代わりに、つぶしたアボカドにライム果汁や刻んだ玉ねぎなどを加えてペースト状にしたものをパンにのせて食べるのが“ヘルシーだ”と人気を集めています。ケーキやクッキーも、脂肪分のあるくるみやアーモンド(またはその粉末)を使えば、バターなしでも物足りなさがなく、おいしくつくることができますよ」(松田さん)
星子クリニック院長の星子尚美さんがすすめるのは、牧草だけを食べて育った牛の乳からつくられる「グラスフェッドバター」から余計なものをすべて取り除いた“奇跡のオイル”だ。
「アーユルヴェーダ(インド医学)では古くから無塩発酵バターから、たんぱく質、水分、不純物を濾過して純粋な脂肪分だけを取り出した『ギー』が健康によい食材として使われています。オメガ3系脂肪酸が多く、体に蓄積されにくい中鎖脂肪酸を含んでおり、脂溶性ビタミンも豊富で、現在も“世界一健康にいいオイル”といわれています」(星子さん)