エンゼルス・大谷翔平(28)の快進撃が続く。6月12日にリーグ一番乗りとなる20号を放ち、本塁打王レースでも単独トップに立った。そんななか、新書『もっと知りたい! 大谷翔平』を上梓した大リーグ評論家・福島良一氏が注目するのは、エンゼルスの地区優勝に向けて障壁となる他球団の強敵との対決だ。
「なかでもレンジャーズは同じア・リーグ西地区で開幕から首位と絶好調。エンゼルスの元同僚で兄貴分の左腕アンドリュー・ヒーニー投手との対決や、大谷から初の満塁本塁打を放った“大谷キラー”のヨナ・ハイムとの対決など、目が離せません」(福島氏)
エンゼルスの地区優勝に向けて、大谷自身にとっても正念場と言えるレンジャース戦の行方を福島氏が占う。
* * *
兄貴分の左腕アンドリュー・ヒーニー
レンジャーズには、2021年シーズン途中まで大谷さんの同僚で、仲良しだった左腕アンドリュー・ヒーニーが2023年シーズンから新加入。元同僚と今度はライバルとしてぶつかり合います。
エンゼルス時代は、大谷さんとアイスホッケーやバスケットボール観戦に出かけるなどプライベートでも距離が近かったヒーニー。過去に左肘のトミー・ジョン手術を受け、その後に復活を遂げており、同じ経験をした大谷さんにとっては心強い存在でした。大谷さんの人間性については「紳士的でいいやつ。負けず嫌いだね」と語っています。
優しくて、クールなタイプのナイスガイ。将来の夢は、田舎で木造の一軒家の所有者になることだそうで、「森林や湖のほとりにあるような、ツリーハウスを建てたいんだ。(理由は)静かでリラックスできるから。屋根に寝そべったりしたい」と話していました。
2018年当時の主力投手陣では、最も長い間チームメイトとして時間を共有したヒーニーですが、2021年の7月末にトレードでヤンキースに移籍。その約1ヶ月後、8月30日にエンゼルスタジアムで大谷さんと初めて対戦する機会が訪れました。結果はヒーニーの完敗でした。5回、大谷さんはヒーニーのカーブを完璧に捉え、右翼スタンドへ特大弾を放ったのです。打った瞬間にホームランと分かる当たりで、ヒーニーは打球を見上げることさえしませんでした。
それでも翌日、微笑ましい光景がありました。大谷さんは投手調整のルーティンで、壁当てとキャッチボールを終えると、ヤンキース投手陣とともに調整を行っていたヒーニーの元へと向かいました。自ら声をかけ、ハグであいさつ。しばらく談笑する姿は、元同僚との絆が見えた瞬間でした。レンジャーズ戦は兄貴分だった元同僚との再戦も楽しみです。