このような疾患の治療にはステロイドが第一選択となり、効果は高い。それでもステロイドの効果が不十分、あるいは中止すると再発する症例も。さらには臓器の肥厚により、閉塞や細胞浸潤、線維化による臓器機能不全など重篤な合併症を伴うケースがある。
「この疾患はまだ、疾病としての認知度が高いとはいえず、いまだに原因不明のまま経過観察されている症例もあります。かかりつけ医からの紹介状と過去の検査データなどがあれば、より早く的確な診断が可能となり、理想的です」(神澤センター長)
しかし、原因不明のIgG4関連疾患患者の中には、どこの診療科を受診したらよいかわからず、結局はネット検索でようやくセンターにたどり着いた例もあるそうだ。
今後はセンターのような各科の医師らが連携を取る総合的なアプローチの診察と治療が重要となってくるだろう。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2023年6月23日号