6月14日、岐阜市にある陸上自衛隊の射撃場で実弾射撃訓練中に隊員が小銃で銃撃され3人が死傷した事件で、逮捕された18歳の自衛官候補生は警察の調べに対し、「52歳の教官が狙いだった」などと供述。意図的な犯行だったことが明らかになり、衝撃が広がっている。
事件が起きた日野基本射撃場は、比較的新しい邸宅が立ち並ぶ閑静な住宅街に囲まれている。翌日になると、周囲の住宅街は庭の手入れをする女性や犬を散歩させる男性などが屋外に出ている程度で、マスコミを除けば人はまばらで静まりかえっていた。そのなかで目立つのが、射撃場前に献花に訪れる人たちだ。広報板の前には、花束がいくつも並んでいた。
日が暮れ始めた18時頃、黄色の花を持って献花に訪れた各務原市在住の30代女性は、目を潤ませながら献花を終えた。記者が話を聞くと、溢れる涙を拭い、言葉を絞り出した。
「私は予備自衛官で、毎年ここで射撃の訓練をしているんですよ。だから、ちょっと信じられないなと思って……。いつも第35普通科連隊さんにお世話になっているので、ちょっと起きたことが信じられないんです。国民の方を守るための銃であって、連隊の皆さんはそのために銃の指導をするのに、それを……すみません……(涙を拭う)。
やすらかに眠ってくださいと祈りました。亡くなられた方は知らない人だったんですけど、知ってる人でないにしても……。私にも今回の犯人と同じような教育の期間があったのですが、銃の扱いは徹底して注意を受けているんですよ。銃口は弾が入っていなくても人に向けないとか。だから今回なぜこんなことが起きてしまったのか……亡くなった方のご冥福をお祈りいたします」
自転車で献花に訪れていた40代男性にも話を聞いた。射撃場が近くにあることから、自衛隊の存在をふだんから身近に感じているという。