朝の時間を有効活用する“朝活”。企業でも朝の働き方を見直す動きが高まっている。こうした企業の要請を受け、朝時間の業務指導を行っているのが、早起きトレーナーの池田千恵さんだ。朝活のいいところは、何より“自分のために時間が使える”点だと、池田さんは言う。
「朝って、人が少なくて静かで、邪魔が入らないところがいいんです。ベランダに出て昇っていく朝日を見ていると、太陽を独り占めしているような気分になり、前向きに『今日も頑張るぞ』と思えます。
すべてのことを終えた夜を、“ご褒美の時間”と考えて、『さあ、これからが自分の時間だ』と思うかたもいますが、私は夜を“余った時間”と捉えているので、大切な自分の時間を、余った時間に回していいわけはないと思うのです。
とはいえ、『いちばん好きなおかずを最初に食べるか、最後に食べるか』のように、これは好みの問題でもあり、夜には夜の楽しみもありますが、終わりがないことが難点。ついダラダラして翌日に影響が出ることもあるし、仕事や飲み会、メールのやりとりなど、相手に左右される時間帯でもあります。
一方、朝は、自分さえ頑張って起きれば、確実に自分だけの時間が取れます。出勤時間などの制限があるので、『何時までにこれを終わらせよう』と逆算して物事を考えることも可能です。それに、『自分を優先できた』という実感が持て、一日を機嫌よく始められます。
私は、朝の1時間半弱を自分時間とし、仕事の準備や動画鑑賞など、その日に応じた過ごし方をしています。たとえば、ひとり散歩や日光浴、開店直後のカフェで読書を楽しむだけでも、自分時間を実感できますよ」(池田さん・以下同)
池田さんは、現在4時起きが基本というが、夜型の人にはかなりハードルが高そうだ。
「私の場合、長年いろいろなパターンを実践したうえで、『21時就寝・4時起床』に落ち着きました。こだわっているのは7時間睡眠を維持すること。子供が寝なかったり、仕事上のつきあいがあったりして21時に寝られないときは、起きる時間をずらしています。
大切なのは、早起きよりも『生活時間の朝シフト』。朝が苦手なら、自分なりの朝時間を設定すればいいのです」
「◯時起きが正解」ではない。早朝や夜間勤務の人も、生活サイクルに応じた「朝時間」を決めればいいのだ。