「ムカつくからちょっと撃ってこいよ」
あわや今回の事件のようなことが、実際に起きていたというのだ。その元自衛隊員は、訓練中には緊張感が漂っていたという。
「今回のケースもそうだと思うんですけど、射撃訓練中は怒号が飛ぶんです。射撃するとき『安全装置よし!』と大声で確認事項を言ってから射撃をするんですけど、その声に対して『もっと声出せ!』とか『そんなんで命中するか!』とかって体育会っぽい怒号が飛ぶんです。今考えると、怒られ慣れてなかったり、言われて嫌な人は嫌なんだろうなと思いますね。候補生は銃の怖さをわかっていないという他にも、覚えることばかりで多大なストレスがかかるんだと思います。
実際に僕も、射撃訓練中に冗談で上官から言われたことがありました。『あいつムカつくから、おまえちょっと撃ってこいよ』と。当時、隊の小隊長が横暴で嫌われ者だったので、そういうジョークはちょくちょくありました。もちろん実際に行動に移すことは当時、考えられませんでしたが、だからといって『こんなことはありえない』と報道されることについては多少違和感があります」
陸上幕僚監部広報室に、この元自衛隊員が所属していた駐屯地でそのような事件があったか尋ねたが、締め切りまでに回答はなかった。二度とこのような悲劇を繰り返してはならない。