岐阜市にある陸上自衛隊「日野基本射撃場」で6月14日、自衛官候補生の男(18)が隊員に向け小銃を発射し、3人が撃たれ2人が死亡した。自衛官による意図的な発砲で死者が出たのは、1984年2月、山口市の陸上自衛隊・山口射撃場で当時20代の男性隊員が射撃訓練中に他の隊員に向けて銃を発射し、隊員1人が死亡、3人が重軽傷を負った事件以来、約40年ぶりである。
やはり、今回の事件は“これまでならあり得ないこと”だったのか。30代の元自衛隊員は、過去の実体験から「そうは思わない」と断言する。
「ニュースを見ていると『自衛隊員が訓練中、他の隊員に銃口を向けるなんてありえない』と言われています。しかし、私自身は経験上、そうは思えません。私が自衛隊にいた時にも、訓練中、発砲に至らないまでも人に銃口を向けるということが、実際に起きました。
10年ほど前、私の所属していた駐屯地で、ある候補生が射撃訓練中、上官に銃口を向けるという事件がありました。その候補生は上官から怒号を浴びせられて、キレちゃって銃口を向けてしまったらしいです。ただし、引き金は引いておらず、最悪の事態は免れました。
銃口を向けられた上官はひどく驚いていたそうです。その後、この件が表に出ることはありませんでした」