現在、新たな展覧会『GOKAN ~5感~ 木梨憲武』を東京・代官山で開催中(6月25日まで)の木梨憲武さん(61才)。アーティストとしての活動は順調で、昨年、2018年から全国美術館を巡回してきた個展『木梨憲武展 Timing -瞬間の光り-』が上野の森美術館でフィナーレを迎え、全国20か所、総来場者数122万人を動員している。コロナ禍の約3年を経て、今回の展覧会を開催するにあたっての思いや意気込みを聞いた──。
「コロナ禍の期間はすっかり“内職おじさん”になっていましたね。毎日朝からダンボールやお菓子・薬・調味料などのパッケージを切り貼りして、新たに『フェアリーズ』という作品も完成させることができました。海外ロケのときにもボンドとハサミを持参して、スペインでダンボールを探して作ったりもしていたんですよ。ダンボールが1000作品以上、パッケージも1000作品以上、全部で2000作品以上です。その一部を今回の展覧会でも展示しています」
会場のメインに据えられた木梨さんの代表作『感謝』は、大小さまざまなキャンバスに人々への感謝を色彩豊かに表現している。手をモチーフにマジックや木など様々な素材を使った『REACH OUT』は、仲間や友人との繋がりや助け合いのメッセージが込められている。カラフルでかわいい『Friends』は国内初の展示。この展覧会のために盛り上げ材を使って大胆に描かれた5枚の『MOVE』は、見るだけではなく触って感じることのできる新たなアートだ。ラジオリスナーから集めたステッカーを使用した新作『STICKER DIARY』も、ポップなストリートカルチャーを感じられる作品となっている。展示数は約100点もあり、バラエティ豊かな個性的な作品ばかりで、来場者を飽きさせることはない。
木梨さんがこの展覧会の開催地・代官山ヒルサイドフォーラム&エキシビジョンルームを使うのは、20年振り3回目だそう。木梨さんにとって代官山は若い頃から慣れ親しんだ場所なのだとか。
「若い頃から感性豊かな人たちが集まる代官山はかっこいいし、大好きなんです。僕自身もいつもお茶をしたり、洋服買いに来たりしますし、友達も近くにたくさん住んでいる。またこの場所で3週間お世話になることも嬉しいですね。前回、使わせたいただいたときは20年前なので、僕も40歳くらい。当時はまだ若かったし、疲れ知らずでしたよ。今回は還暦も超えて、準備も大変で、ヘトヘトですね」