巷にあふれる健康情報を試しても、必ずしもいい結果が得られるとは限らない。都内在住の主婦・Hさん(48才)は思わぬ腹痛に悩まされた。
「芸能人やモデルがすすめる玄米をマネしてみたのですが、食べ始めてから下痢に悩まされるようになってしまった。何か病気の兆候かと思って医師に相談したら、玄米が原因だと言われて驚きました」
玄米は栄養が豊富なため白米よりも健康によいとされるが、デメリットもある。健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子さんが解説する。
「玄米はビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富です。ただ、その半面、胃腸の弱い人が食べるとそれらの栄養素を消化できず、腹痛が起こりやすいのです」
健康にいいとされているにもかかわらず、意外な落とし穴がある食品は玄米に限らない。望月さんは「野菜中心の食生活」はかえって不健康になるリスクがあると指摘する。
「野菜そのものは悪くないですが、そればかり食べているとたんぱく質不足になり、筋肉量減少による基礎代謝の低下や肌荒れなどが起こる可能性があります」(望月さん)
栄養補助のため朝食の代わりや昼食時に野菜ジュースを飲む光景はよく見られるが、残念ながら効果は見込めない。アメリカ在住で内科医の大西睦子さんが説明する。
「加工されたジュースは健康効果の高い食物繊維や抗酸化物質が減少しているうえに、その代わりに糖質がたっぷり入っている商品も多く、血糖値が急激に上昇する危険性があります。米ハーバード大学の研究でも1日1杯以上果物ジュースを飲む人は糖尿病になりやすいと指摘しています。
また、食品偽装のリスクも潜んでおり、米国食品医療品局(FDA)によると原材料として果物が表記されていても、安価なジュースや水、染料、砂糖、香料などを添加して水増ししているケースがあるそうです」
たんぱく質を手軽に摂取できるとして、スーパーやコンビニなどで売られている「サラダチキン」にも注意が必要である。原材料の鶏胸肉は低脂質・高たんぱくだが、落とし穴があると内科医の山本佳奈さんは指摘する。
「添加物が多数使われており、なかにはがんの原因物質となる可能性が指摘されているものも含まれているかもしれません。添加物の表示をチェックするべきです」(山本さん)
鶏肉と同じく高たんぱくで、脂質にも健康効果があるといわれる魚介類にも危険が潜む。大西さんは「カドミウムや鉛、水銀などの汚染物質のリスクがある」と言う。
「特にマグロやカジキ、サメなどの大型で長生きな魚は、体内に汚染物質を取り込みやすい傾向があります。なかでも妊娠中の女性や幼い子供は、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、避けた方がよいでしょう」(大西さん・以下同)