この風景をひとりで見ているのはもったいないと思い、Twitterで日の出写真を発信し始めると、多くの人からうれしいコメントが届き始めた。
「その反応が楽しくて続けるうちに、『早起きの番組をやってみませんか?』と声がかかったんです。趣味が仕事に結びつくとは、まったく予期していませんでした」
元来散歩好きで、2時間歩くこともある。歩きながらフレーズが浮かぶことも度々だ。
「気分が高揚してくると、鼻歌がついて出てくることがあります。歩きながら、頭の中に鳴っているコードだけで作り上げていくのは心地いいですね」
朝散歩で生まれた曲の中には、校歌もあるという。
「売野雅勇さんの詞に合わせて、外国の国歌のような壮大なイメージの曲を考えていたら、早朝の築地でメロディーが浮かんだんです! 朝の清々しさや神々しさが旋律に乗り、朝だからこそ生まれた曲になりました」
朝散歩の楽しみ方を、改めて聞いてみると……。
「ぼくは心地よさを求めて歩いているので、車の通らない道が好きですね。東京は整備された遊歩道がたくさんあります。たとえば隅田川沿いに整備された『隅田川テラス』は、築地からまっすぐ歩けば浅草まで行けるんです。
また、名所の由来碑を見ながら『芭蕉はここに住んでたの?』『明石町に外国人居留地があったのか』なんて歴史を感じながら歩くのも好きですね」
早く起きた人だけが享受できる“特別な世界”。知らずにいるのは、もったいないかもしれませんよ。
【プロフィール】
中西圭三/1991年デビュー。『Woman』(1992年)、『You And I』(1993年)のほか、楽曲提供『Choo Choo TRAIN』(1991年)、『Timing』(1998年)など、長く歌い継がれる名曲を作り続けている。現在、『中西圭三の朝ぶら散歩』(旅チャンネル)がスカパー!、TOKYO MX1などで放映中。
7月15日に開催の「売野雅勇 作詞活動40周年記念オフィシャル・プロジェクト〜MIND CIRCUS SPECIAL SHOW『それでも、世界は、美しい』」(東京国際フォーラム ホールA)にゲスト出演する予定。売野さんが作詞を手がけた中西作品を集めたベストアルバム『YELL, STEPS & SONGS -売野雅勇YEARS BEST-』(7月12日発売)には、前述の校歌も収録予定だ。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2023年6月29日号