発砲事件があったJR町田駅付近の現場を調べる警視庁の警察官。2023年5月26日。犠牲になったのは暴力団員だった(時事通信フォト)

発砲事件があったJR町田駅付近の現場を調べる警視庁の警察官。2023年5月26日。犠牲になったのは暴力団員だった(時事通信フォト)

誰に狙われるかわからない

 犯人とされる暴力団員に会ったことがあるという元組長は、現代ビジネスが示唆している人物とその組員が「似ていると言われれば似ているが、俺は違うと思う」という。NEWSポストセブンでは「これは抗争だ」という意志表示だと報じているが、もし抗争であれば身構えていられるが、最近はそれ以外の危険を感じているという。

「ヤクザ稼業は己の組が絡んだ事件や組同士の抗争が起きると、いつ自分が標的にされるのか、鉄砲玉になれと言われるのかわからない。親分が襲撃されれば子分が盾になることもある。ヤクザとして生きるなら、そこは覚悟しているところなんだが、最近は…」と言葉を濁した。このところ立て続けに、いつどこで、誰に狙われるかわからないような事件が起きているからだ。

 5月26日、東京都町田市のJR町田駅のターミナルビルで、六代目山口組傘下組織の組員が稲川会傘下組織の元組員に射殺されるという事件が起きた。容疑者は被害者から金を借り、その返済を巡っての凶行だといわれている。「金を貸して、鉛玉で返されるとは、たまったものじゃない」と元組長。5月29日には、東京の新宿歌舞伎町のマンションで住吉会傘下組織の組員が、同じ系列の傘下組織の元組員に刺殺された。こちらは身内のヤクザの間で起きたいざこざが原因だという。抗争とは関係なく、どちらも顔見知りによる犯行だという。

 抗争がなくても、外に出ればどんなときも油断できないようだ。事件の動画や情報が出回る度に、自分たちの稼業の特殊さを改めて思い知らされることになるのだろう。

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