交流戦を制したDeNA。首位・阪神と2.5ゲーム差まで詰め、首位奪回が見えてきた。主力選手たちは決して本調子だったわけではない。宮崎敏郎は打率4割近いペースで安打を量産し、4番の牧秀悟も調子を上げてきているが、主将の佐野恵太は打率2割5分前後と試行錯誤し、ソトとオースティンの両外国人もスタメンで常時出場しているわけではない。その中で、MVP級の貢献度を見せているのがプロ10年目でブレークした関根大気だ。
打力が課題だったが、今季は外野のスタメンに定着して全62試合に出場して打率.320、3本塁打、26打点。開幕から6番に座りポイントゲッターとして勝負強さを誇ると、5月中旬以降は1、2番を託されてチャンスメーク役を担っている。関根の強みは150キロを超える直球を引っ張れることだろう。身長173センチはプロ野球選手として小柄だが、パンチ力がある。左中間を射抜く打球も目立ち、広角に安打を打ち分けている。
野球センスの高さには定評があった。2013年ドラフト5位で東邦高から入団した際は、愛知県出身で走攻守3拍子揃った外野手だったことから「イチロー2世」と期待されたが、プロの壁は厚かった。スポーツ紙記者が語る。
「関根はクソがつくほど真面目な選手。完璧主義だったので、ミスを引きずってしまう部分があった。でも、ファームではずっと結果を残していたんですよね。2020年はイースタン・リーグで打率.301をマークしていましたが、一軍から声が掛からず出場なし。アレックス・ラミレス前監督に評価されず、地元球団の中日にトレードが噂された時期もありました。三浦大輔監督は二軍監督時代から関根の能力を高く評価していたので、指揮官が代わったことは関根にとって良かったと思います」
一軍に定着できなかった時も、腐らなかった。当時の中心選手だった筒香嘉智(現レンジャーズ傘下3Aラウンドロック)の自主トレに志願参加し、野球に向き合うストイックな姿勢は一目置かれていたという。
「筒香もシーズンオフにドミニカ共和国のウインターリーグに参加していましたが、関根もメキシコのウインターリーグに参加しました。2人に共通することは成長するために貪欲なことです。結果を残しても浮つくことがない。関根は今年大活躍していますが、打っても打たなくても気持ちを切り替えてプレーしている。海外での武者修行の経験が確実に生きていると思います」(同前)