大谷翔平(28)を擁するエンゼルスが、敵地に乗り込みロッキーズとの3連戦に挑む。新書『もっと知りたい! 大谷翔平』を上梓した大リーグ評論家・福島良一氏は、会場となるクアーズ・フィールド(コロラド州デンバー)についてこう言う。
「標高1600メートルの高地にあるため空気が薄く、平地に比べて打球が飛ぶのでホームランが出やすい“バッター天国”です。同地で開催された2021年のオールスターゲームで大谷さんは史上初の投打二刀流として出場。前日のホームラン競争にも日本人で初めて出場し、惜しくも初戦敗退したものの、飛距離500フィート(約152メートル)以上を28本中6本記録しました」(福島氏)
果たして、公式戦でも500フィート級の超特大アーチが見られるか。大谷の「パワーヒッター」としての魅力を福島氏が解説する。
* * *
500フィート級の超特大ホームラン
パワーピッチャーが剛速球なら、パワーヒッターの魅力と言えば、豪快なホームランです。世界を代表するスラッガーたちの力感あふれるスイングが見られるのは、MLB観戦の醍醐味の1つです。大谷さんもまさにそういうタイプの典型的なスラッガーと言えます。フルスイングの空振りですら、スタジアムからどよめきが沸き起こるほどです。
大谷さんは過去、MLBで数多くの特大ホームランを打ってきました。エンゼルスに入団した5年間で最長飛距離の1発は2021年6月8日、本拠地アナハイムのロイヤルズ戦で放った特大弾です。
先発左腕クリス・バビクに対し、初回無死一塁の場面で甘いチェンジアップを捉えた打球は右中間スタンドへ大きなアーチをかけて飛んでいきました。メジャー自己最長となる飛距離470フィート(約143メートル)の特大ホームラン。エンゼルスに指導者として長年在籍してきたジョー・マドン前監督も「あそこまで飛んだのは見たことがない」と目を丸くした1発でした。
ちなみにMLB史上最長飛距離のホームランは史上最強のスイッチヒッター、通算536本塁打を誇るミッキー・マントル(ヤンキース)が打っています。
1953年4月17日、首都ワシントンのグリフィススタジアムで行われたセネタース戦。5回2死一塁の場面で右打席から左中間スタンドを越える超特大の場外ホームラン。ヤンキースの広報担当レッド・パターソンがすぐさま球場を飛び出し、ボールを拾った少年に落下地点を聞いて巻尺で測ったところ、なんと飛距離565フィート(約172メートル)。これが正確に測定した史上最長ホームランであり、のちに「テープメジャーショット」として語り継がれています。