60歳以上に適した「中強度」の運動・行動26

60歳以上に適した「中強度」の運動・行動26

 ちなみに、運動や日常の身体活動の強度は「メッツ(METs)」という単位で示される。

「メッツは、安静時(1メッツ)を基準に、身体を動かした時にどのくらいエネルギーを消費するかを示す単位です。60歳以上の人の場合、3~4.9メッツが中強度と考えるとよいでしょう」(同前)

 具体的な中強度の運動・行動は別掲図の通り。

 スポーツ医学が専門の武者春樹医師(聖マリアンナ医科大学名誉教授)も、間違った健康常識にこう警鐘を鳴らす。

「これからの猛暑の季節、特に注意が必要なのが、起き抜け直後の散歩やジョギングです。熱帯夜では、起床時に既に脱水傾向であり、運動で深刻な脱水状態を招く恐れがあります。めまいやふらつきから転倒・骨折したり、心筋梗塞や脳卒中を起こす可能性も。起床後に喉の渇きを感じなくても、まず2杯以上の水を飲んでから動き始めましょう」

 また、運動習慣のある高齢者ほど見落としがちなのが「視力の低下」だ。

「視力は本人が意識していないことが多く、ウォーキング時などに距離感がつかめずバランスを崩したり、足元がよく見えずにつまずいて転倒、骨折してしまうことがあるので要注意です」(同前)

ジムで足腰を痛める

 趣味を兼ねたゴルフの練習にも注意が必要だ。

「ゴルフのスイングなど、同じ回転軸を繰り返し使う運動は背骨や腰に継続的に同じ方向の負荷をかける動きです。痛みがあれば控えるのはもちろん、長く楽しみたい人は並行して体幹を鍛えるトレーニングを行なうと良いでしょう」(同前)

 スポーツジムに通い始める場合は、こんな点にも要注意だ。

「ジムのトレーナーらが指示する運動強度が強すぎるケースがあります。特に中高年でジム通いを始めた人は、指導を鵜呑みにして無理をしてしまいがち。実際、ジムで足腰の関節や筋肉を痛めて整形外科を受診する高齢者は少なくありません」(同前)

 ジムでの器具を用いた筋トレや、動きを伴う運動に限らない。関節や筋肉の曲げ伸ばしを行なうストレッチ運動でも筋肉を痛めることがある。整形外科医の戸田佳孝氏(戸田整形外科リウマチ科クリニック院長)が言う。

「ストレッチ時の動作に20秒以上の時間をかけると、伸ばした筋肉が無意識の反射で収縮しようとします。そこでさらに伸ばすと、筋繊維が剥がれたり断裂したりする原因にもなります」

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