パ・リーグはソフトバンク、オリックス、ロッテが熾烈な首位争いを繰り広げている。昨年最下位に低迷した日本ハムも、新庄剛志監督が就任2年目を迎えて目指す野球が浸透してきている。春先はスタートダッシュに失敗したが、チームを立て直して首位・ソフトバンクと7.5ゲーム差。借金を返済して優勝争いに加わりたいところだ。
その中で、早くもメディアの話題が次期監督にシフトしている球団がある。最下位に低迷する楽天だ。石井一久監督が就任3年目の今季は投打がかみ合わず、春先から低空飛行が続いている。交流戦を終えてリーグ戦再開となった5位・西武との3連戦で同一カード3連敗を喫した際には、借金が今季ワーストの12にふくらんだ。
観客動員数も厳しい状況だ。6月24、25日の土日の試合は1万8276人、1万7065人と楽天モバイルパーク宮城だけいずれも2万人割れ。最も観客が集まったソフトバンクのPayPayドームは2試合とも4万人を集客しているので半分以下だ。スポーツ紙記者は「どこもコロナ明けで観客は戻りつつあるなか、楽天だけコロナ前の観客動員数のワースト記録を下回っている異常事態です。おまけに24、25日の対戦相手はいまの楽天が唯一と言っていいほど勝ち星を計算しやすい西武戦だった。客離れは深刻です」と嘆く。
ファンからも冷たい視線を向けられているような状況にある石井楽天。スポーツ紙デスクは、楽天の戦いぶりについてこう評する。
「新陳代謝がうまくいっていないチームの典型ですね。安易な外部補強でピークを越えた選手たちをかき集め、若手が伸び悩んでいる。石井監督は戦略に秀でている指揮官ではないので、現状の成績は妥当だと思います。CS進出すら厳しい状況なので、今季限りでの退任になるのではないか」
石井監督は2018年に楽天のGMに就任すると、浅村栄斗、鈴木大地、牧田和久、涌井秀章(現中日)、炭谷銀仁朗、西川遥輝と他球団の実績ある選手たちをFAやトレードなどで積極的に補強。2020年オフには田中将大が8年ぶりにメジャーから日本球界に復帰した。昨オフは涌井をトレードで放出し、中日から阿部寿樹を獲得。ただ、ド派手な補強策に楽天ファンの反応は決して芳しくなかった。
「東北のファンは生え抜きの選手たちに特別な思いがある。年数をかけてもいいから生え抜き中心の選手たちが中心になるチーム作りを望んでいた。石井監督のやり方は真逆だったので、戸惑いがあったと思います。これで結果が出れば見方も変わっていたのかもしれませんが、2021年の監督就任以来優勝争いに加われていない。指導者としての将来を嘱望された平石洋介(現西武一軍ヘッドコーチ)、嶋基宏(現ヤクルト一軍バッテリーコーチ)も居場所がなくなり、チームを去ってしまった。楽天ファンの熱が冷めてしまっているのが実情です」(仙台の民放テレビ局関係者)