聖光学院の斎藤智也監督が語った(共同通信)

聖光学院の斎藤智也監督が語った(共同通信)

「契約金の一部を寄付したいと言っていたが…」

「卒業後も何回か、『謝罪に行かせてください』と連絡があったけど、『ケジメつけたものを、オレの前で見せるなら、会うから来い』と言った。それでも坊主にはせずに『お会いしたいです』と。『それは都合のいい話だろ。坊主という約束だったんだから、後輩の前でも毅然としたところを見せろ』と再三言ったんだけど、結局坊主にはしなかった。

 キャンプに行くまでは何も問題なかった。ひたむきで、真面目で努力するし、凄くいいコだった。ただプロ野球の世界を一度見て、キャンプから帰ってきて、ちょっとおかしくなっていた。それで今話したような除名処分にした経緯があったわけ。後を濁して母校を巣立ったので、本人から契約金の一部を寄付したいという話もあったけど、一切応じなかった。

 加賀も園部と地元が一緒で仲良かったけど、高校時代は何の問題もなかった。『富士大に行きたい』っていうことだから推薦もしたんだけど、問題があったら大学に行かせられないからね。ただ大学に行ってから『おかしいところがある』という話を聞いた。高校時代の悪い話があれば別だけど、ほんとに何もなかったんだよ」(同前)

 今回の事件については、「残念だけど、予測できないことじゃないよね」という。

「ケジメをつけられない選手だったから、仕方ないのかなあと。『あいつに限って、まさか』とは思わない」(同前)

 かつて高校球児と言えば丸刈り、つまり坊主を強制されるのが当たり前だったが、ここ数年で風潮は変わりつつある。日本高野連が6月19日に発表した「高校野球実態調査」によると、「部員の頭髪の取り決め」について「丸刈り」と答えた学校は26.4%で、5年前の76.8%から激減。髪型の強制については議論が多いが、斎藤監督にとって園部容疑者と交わした約束が持つ意味は大きかったようだ。

 同校野球部のホームページには、〈その真髄は「人間力」にあると自負しています〉とある。

〈野球部が最も大切にしていることが「心」です。野球の技術はもちろんですが、野球がうまいだけでは勝つことは出来ませんし、それ以前に一人の人としてどうあるべきかということを追求しなくては学生野球をやる意味はないと考えています〉(ホームページより引用)

 同部の引退後に様子が変わってしまったという両容疑者。恩師と再び顔を合わせる日はくるのだろうか。

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