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AIは人間に気づきを与えるパートナーになる? 脳科学者・中野信子氏とAIロボット開発者・林要氏が語るAIと人の未来

中野信子氏(左)と林要氏(右)

世界初の家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を抱える中野信子氏(左)と林要氏(右)

 世界初の家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を開発したGROOVE X代表・林要さんがロボットの理想と考えるのがドラえもんだ。のび太をはじめ周りの人間を支えサポートするパートナーであるロボットを夢見るとき、林さんはまずは人の心=脳を知りたいと考え、脳科学者・中野信子さんの協力を仰いだ。気鋭の脳科学者と、最新テクノロジーを駆使するベンチャー起業家が、人間とバイアス、そして人間とAIが共生する未来について語りつくした。【全3回の第2回。第1回から読む

ドーパミンとバイアスによる快楽に溺れる人たち

林要(以下、林):誤解を恐れずに言えば、現代は食うに困らなくなったがゆえに、何をして時間をつぶすかを選ぶ時代になったと言えますね。その時に、読書のような認知的負荷のかかる方法を選ぶ人は少数派で、より認知的負荷が少なくドーパミンが出る行為を選ぶ人が多いですよね。飲酒とかオンラインゲーム、ギャンブル、SNS、動画とか。

中野信子(以下、中野):ああ、ドーパミンによる快楽と幸福が混同されてしまっているんですね。ドーパミンは分泌されると快楽を感じるというざっくりとした仕組みがあります。それによって目の前の苦痛を紛らわせてくれますが、その快楽物質に依存し過ぎてしまえば、「どう生きたらいいか」に目がいかなくなってしまうでしょう。

林:知的好奇心よりも、ドーパミンによる快楽に目を奪われてしまうんですね。

中野:生きるために身体的にきつかった時代には「どう生きたらいいか」なんて考える余裕はなかったかもしれません。現代は、身体的な負担から多くの人が解放されましたが、そこを考える知的トレーニングについてはなおざりのままです。生じた余剰のリソースの扱い方がわからないまま、過剰な消費に目が向いてしまっているのかもしれません。

林:快楽を感じるという意味では、SNSもそうですね。なぜSNSがバイアスの塊になるかというと、自分のバイアスに合った情報を見ると気持ちがいいからですよね。

中野:ええ、自分の考えを承認してもらえているかのような快さを感じられるからでしょう。

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