多くの人が気にする生活習慣病の代表的な指標が「血圧」と「血糖値」だ。2つの数値の関係性は密接で、糖尿病の人の40~60%が「高血圧」を持っているとされるが、これはそうでない人に比べて約2倍の頻度となる。高血圧患者における「糖尿病」の合併頻度も同様に、そうでない人の2~3倍高いと報告されている。
厄介なのは糖尿病に高血圧が合併していると、インスリン抵抗性が強まることで血圧が上昇し、動脈硬化がより速く進行することだ。心筋梗塞や狭心症などを引き起こす危険性が増すため、医師からは「数値を下げるために薬を飲んでください」と指導され服薬生活につながりやすい。
また、血圧は2019年に改訂された診療ガイドラインで降圧目標が「130mmHg未満」(上=収縮期血圧)と厳格化され、より多くの人が“患者”と括られるようになった。厚労省の「国民健康・栄養調査報告」(2019年)によると、男性の高血圧患者(140/90mmHg以上)は、40~64歳の約6割、65歳以上の7割前後を占めている。
高血圧が“国民病”と言われる所以だが、一度降圧剤の服用が始まればそれが“日常”になってしまう。その前に確認したいのが、“そもそも健康診断の数値は本当に正しいのか”という点だ。
高血圧診療の専門家である坂東正章医師(坂東ハートクリニック院長)が言う。
「健康診断などで血圧を測る際に緊張などから数値が上がり、家庭など診察室以外で計測するよりも高く出ることを『白衣高血圧』と呼びます。一方、診察時の血圧が正常でも、夜間や早朝、昼間の血圧が高い場合があり、こちらは『仮面高血圧』と呼びます。後者は病院での血圧が正常値のため、“自分は高血圧ではない”と錯覚してしまう」
そうした仮面高血圧も注意が必要だが、白衣高血圧については、“本当は必要ないのに服薬を指導されてしまう”というリスクが生じるから、やはり危険と言えよう。
医療機関などでの計測で基準値を超えている人の15~30%が白衣高血圧とされ、自分がそうした“検査で数値が高くても大丈夫”というパターンに該当しているかを知る必要があるわけだ。