テレビ業界は、年々制作予算が潤沢とは言えない状況になり、豪勢な仕掛けや演出を施す機会は減りつつある。その中で『私のバカせまい史』(フジテレビ)では、今まで誰も調べたことのない”バカせまい歴史”をスタッフとタレントがともに作り上げるという、手間暇を惜しまない制作を通している。
資料調査から取材、そして再現シミュレーションまで、1企画を放送するまでに3か月を要し、収録では6企画(2週分)を作り上げる。また、放送や配信での過去映像使用のコストには制作費を惜しまず投下する。『私のバカせまい史』プロデューサーの島本亮氏に、タイパ・コスパ度外視の制作方針を貫く理由を訊いた。
聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。テレビ番組の制作者にインタビューを行なうシリーズの第7回【前後編の前編。文中一部敬称略】。
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演出・加藤智章は「バランスのいいディレクター」
バカリズムがMCを務める『私のバカせまい史』は、「武田鉄矢ものまね進化史」「ドロドロ昼ドラ『愛憎グルメ』史」「ものまね番組ご本人登場史」「達川光男のリアクション史」といった今まで誰も調べたことのない“バカせまい”歴史を長期間にわたって大真面目に研究・調査し、それを芸人を始めとするタレントたちが発表する番組だ。
この番組の立ち上げの経緯を答えてくれたのは、チーププロデューサーの島本亮だ。