テレビバラエティ番組『私のバカせまい史』(フジテレビ)では、今まで誰も調べたことのない”バカせまい歴史”を発表する。知的好奇心をくすぐる絶妙なニッチさと王道のバラエティの融合は、かつて放送されていた『カノッサの屈辱』や『トリビアの泉』を彷彿とさせる。
しかし、それらの番組と異なるのは”バカせまい歴史”の研究発表の準備段階から、プレゼンターを務める芸人が携わっている点だ。MCのバカリズムもプレゼン発表をしているが、調査や取材の時点から研究発表チームに加わっている。『私のバカせまい史』プロデューサー島本亮氏は、周囲から言われるまでは『カノッサ』を意識していなかったと語る。
聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。テレビ番組の制作者にインタビューを行なうシリーズの第7回【前後編の後編。文中一部敬称略】。
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単なるアーカイブ番組ではなく、芸人が研究発表するという“熱量”
「ひとりひとりの芸人の負担がえげつない」とバカリズムが言うように、『私のバカせまい史』では、芸人たちが制作段階から深くかかわりながら「研究発表」として、プレゼン形式でそれぞれの「バカせまい史」を解説していく。
ちなみに彼らは手カンペではなくタブレットを使っているが、チーププロデューサーの島本亮によると、これは「現代っぽい研究発表感を出したい」という総合演出の加藤智章のこだわりだという。VTRだけで解説するという方法もあったはずだが、芸人たちのプレゼン形式にしたのにはどんな意図があったのだろうか。