二刀流で躍動するロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平(29)。その支えとなっているのが、連日の出場に耐え得る強靭な肉体だ。専門家も唸る大谷の肉体を徹底解剖した。
NHK『みんなで筋肉体操』の講師でお馴染み、順天堂大学スポーツ健康科学部先任准教授の谷本道哉氏は、大谷の肉体についてこう語る。
「寸胴で太い胴体とお尻に加えて胸、背中、太ももといったすべての部位が発達しています。特に腕に関していえば、本来速い球を投げるには太すぎないほうが有利ですが、大谷選手は特大ホームランを打つ太い腕を持ちながら、160kmを超える速球を投げている。スポーツ科学の常識では考えられないことです」
今回、現在の大谷の肉体について、様々な資料をもとに筋肉の専門家らが検証、その内容を図解した。専門家をも唸らせる大谷の体は、いかにして鍛え上げられたのか。
2013年に日本ハムに入団した当初の大谷は身長193cm、体重は今より10kg以上軽い86kgだった。同期で日ハムに入団した宇佐美塁大氏が語る。
「背は高いけど、線が細い選手でした。ただし体に対する意識は新人のなかでずば抜けて高く、どこに行くにもサプリメントを常備していた。ウエイトトレーニングも熱心に行ない、特に下半身を徹底的に鍛えていました」
2014~2015年に日ハムの打撃コーチを務めた柏原純一氏も大谷の「ウエイト好き」を証言する。
「本拠地の札幌ドームでは誰より早く来てウエイトで汗を流し、遠征先でも個人的に契約したジムで筋トレに励んでいました。当時はまだ細かったけど、3年後、5年後、10年後を考えてトレーニングしていましたね」
筋力を鍛えるだけでなく、球団が若手選手を対象に実施する栄養学の講座を熱心に受講していた。日ハムに同期入団した新垣勇人氏はこう証言する。
「腕や足の付け根を専用ベルトで締め、血流を制限して行なう加圧トレーニングを早くから取り入れていました。野球のための体づくりを優先して、柔軟体操も念入りにやっていました」
さらなる肉体改造のきっかけとなったのが、2015年オフに当時レンジャーズにいたダルビッシュ有(36、現パドレス)と初めて行なった合同トレーニングだ。
「ダルは大谷に自らの経験やトレーニングに関する知識を惜しみなく伝えました。助言を受けた大谷は、オフの間に1日6~7食を摂り、体重が2か月で8kgほど増えた。おかげで胸板や上腕の筋肉がパンパンに膨れ上がり、愛用のスーツが着られなくなったほどです」(スポーツ紙記者)
迎えた2016年シーズン、大谷の体重は初めて100kgに到達した。