ベーブ・ルース以来の“二刀流”で100年を超えるメジャーリーグの歴史を次々と塗り替えつつあるエンゼルス・大谷翔平。後半戦の開幕となる7月14日(現地時間)には今季8勝目をかけてアストロズ戦に先発する。新書『もっと知りたい! 大谷翔平』の著者で大リーグ評論家・福島良一氏は、今年、実現すればメジャー史上初となる大記録への期待をこう語る。
「今年の大谷さんは史上初の『2年連続2桁勝利&2桁本塁打』に向けて、まずは5月18日に10号ホームランを記録しました。あとは先発投手としての勝ち星ですが、開幕から中5日でフル回転しています。7月4日に負傷した右手中指の状態は心配ですが、昨年(8月9日に10勝目)より早い時期に2桁勝利に届くかもしれません」(福島氏)
昨シーズン、投手としての進化を見せた大谷だからこそ期待は高まる。福島氏が語る。
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2022年、大谷さんは1918年に元祖二刀流のベーブ・ルースが13勝とホームラン11本をマークして以来史上2人目、104年ぶりに「2桁勝利&2桁ホームラン」の大偉業を達成しました。2022年は前半戦のオールスター前までに自己最多に並ぶ9勝をマーク。後半戦に入り3連敗しましたが、2021年から延べ7度目の2桁勝利への挑戦となった8月9日、敵地オークランドのアスレチックス戦で10勝目を挙げました。
しかし、本人は「光栄なことだとはもちろん思いますけど、シーズン中とか、自分の今の数字がどういう印象なのかとかはあまり分からない。終わった後にどんなシーズンだったのかを振り返られればいいと思います」と、まるで人ごとのようでした。将来、二刀流選手が増えたら「普通の数字かもしれない」とも語っていました。しかし、2桁勝利&2桁ホームランを2年連続達成するとなると、話はまた別です。
1918年に13勝7敗、ホームラン11本をマークしたルースでしたが、翌1919年は9勝5敗、ホームラン29本で惜しくも2年連続の偉業達成はなりませんでした。ちなみに20世紀前半、米国にあった黒人だけのプロ野球リーグ、ニグロリーグでは後に米国野球殿堂入りした伝説の二刀流スター、ブレット・ローガン(モナークス)が1922年に14勝&ホームラン15本。1927年にエド・ライル(スターズ)も11勝&ホームラン11本をマーク。しかし、いずれも翌年は達成できませんでした。従って、2023年にもし大谷さんが2桁勝利&2桁ホームランをマークすれば、2年連続は史上初の快挙なのです!