50歳からの恋愛は難しい。いろんなことが見えてきちゃうから
「50歳からの恋愛は難しいんじゃないかな・・・・・・。なぜかって言うと、大人になるといろんなことが見えてきちゃうから。考えすぎて、手放しで相手を好きになるとかできなくなってくる。今までの人生で、男の人と女の人の違いがわかりすぎたってこともあります。
思考が全然違うから、男女の翻訳機ができればいいのにって思います。女の人の頭の中が翻訳出来たら、男の人はその思考量にびっくりするんじゃないかな。きっと5倍くらいの情報量があるから(笑い)。逆に女の人は『うんそうだね』と共感してほしいだけなのに、男の人は理路整然と説明してきてケンカになっちゃうとか。
いろんなことを学んでも、やっぱり私は恋愛と数学が苦手なんですよ。将来的には誰かといたい気もするけれど、自分が誰かと生活している具体的な未来が全く想像できない。いまは自分を愛してかわいがって、(愛猫の)メルシィとハチがいればいいかな」
逆に得意で好きなのは、哲学や精神世界の勉強という。
「もともと、タロット・リーディング(占い)もしていましたし、ホロスコープ(占いのための天体配置図)も読めるようになりました。よく、『これをしたら開運できる』なんて言いますが、一足飛びに叶う願いなど、この世にないと思うんです。三歩進んで二歩下がり、一滴一滴を蓄積して、自分を深めて進んでいくことで、願いは現実するんじゃないかな」
彼女の言葉と心には鎧がない。だから、話しているだけで懐かしい友達とリラックスしているような気分になる。優しさと厳しさ、温かさとクールさ……年齢を重ねて相反する要素を取り込んで魅力に変えていく鈴木砂羽。彼女の新境地が楽しみだ。
撮影/熊谷直子 スタイリスト/柴田圭 ヘアメイク/杉村理恵子 取材・文/前川亜紀
プロフィール◆鈴木砂羽(すずきさわ) 1972年生まれ。静岡県浜松市出身。94年に映画『愛の新世界』で主演デビューを果たし、第37回ブルーリボン賞新人賞、キネマ旬報新人賞、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞などを受賞した。テレビ朝日の人気ドラマ『相棒』シリーズに出演。ドラマ、映画、舞台、バラエティーの他にも舞台演出、マンガの執筆など幅広い表現ジャンルで活躍中。