自分自身のことは案外わからないものである。意識的であるかどうかで評価は分かれることになる。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
* * *
プロ野球のペナントレースも前半戦がほぼ終了。7月19日(水)と20日(木)には、夢の球宴「マイナビオールスターゲーム2023」が開催されます。日本球界を代表するスター選手たちの活躍や好プレーを存分に堪能しましょう。
オールスターゲームの盛り上がりを祈念しつつ、野球とはぜんぜん関係ありませんが、実生活やSNSでしばしば遭遇する「困ったおじさん」のオールスターメンバーで打線を組んでみます。きっと破壊力抜群な打線になるに違いありません。
これを書いている私も、押しも押されもせぬ「おじさん」です。己の日頃の行ないを省みつつ、同年代のみなさまへのエールを込めてリストアップしてみました。「おじさん」に属するみなさまにおかれましては、他山の石にしていただけたら幸いです。
では、さっそく栄えある(?)オールスターメンバーを発表いたしましょう。
【1番センター、俺たちの若い頃はおじさん】
会話の中でどんなボールが飛んできても、じつに巧みに「俺たちの若い頃は」「近ごろの若い人たちは」といったフレーズを打ち返します。ただ、自分でも過去の美化や手前味噌な自己肯定に基づいていることは薄々わかっているので、長打力はありません。
【2番レフト、マウント取りたがりおじさん】
会話のボールを思いっ切り引き付けて、熟練のバットコントロールで「俺のほうが詳しい」「俺のほうがスゴイ」「俺のほうがエライ」といったマウントを取ります。相手が閉口していることに気づかないので、結果的に「しつこいバッティング」になりがち。
【3番ファースト、自分語りおじさん】
相手が無意識に投げた「絶好球」を見逃さず、過去の手柄話や海外生活自慢、家族自慢などの自分語りを始めます。実生活にせよSNSにせよ、いったん語り始めると持ち前の粘り強さで延々と続くのが特徴。「調子に乗らせると厄介な存在」として恐れられています。
【4番サード、時代遅れ上等おじさん】
働き方にせよジェンダーの問題にせよ、心身に染みついている時代遅れの「常識」や「感覚」を頑なに変えようとせず、暴言というバットをパワフルに振り回します。自分のバッティングスタイルに自信とプライドを持っているので、どんな助言も届きません。
【5番ショート、お説教おじさん】
無知な発言や若さゆえの未熟さといった「相手のスキ」を見つけると、迷わず「お説教」という強烈で迷惑な打球を打ち込みます。本人は「相手のために言ってあげている」つもりなので、手加減する気はありません。類似タイプに「教えたがりおじさん」も。