芸能

「ダサいこと禁止」「配信の回転数を意識」…『ランジャタイのがんばれ地上波!』演出が明かす編集哲学「私はエゴサーチの鬼ですね」【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】

『ランジャタイのがんばれ地上波!』企画・演出の秋山直氏

『ランジャタイのがんばれ地上波!』企画・演出の秋山直氏

 破天荒な芸風としてのパブリックイメージを持つお笑いコンビ・ランジャタイの冠バラエティ『ランジャタイのがんばれ地上波!』では、伊藤幸司、国崎和也がその破天荒さをも破壊するような柔軟な立ち回りで番組を盛り上げている。 

『ランジャタイのがんばれ地上波!』企画・演出の秋山直氏は、国崎を「たぶん全部できるから、全部やらない」人と評し、伊藤を「内に秘めたものがスゴい」人(前編参照)と語る。『がんばれ地上波』は「地下ライブ」の空気を色濃く感じる稀有な番組だが、実は秋山は『マツコ&有吉 かりそめ天国』ではチーフディレクターも担当している。 

 聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。テレビ番組の制作者にインタビューを行なうシリーズの第8回【前後編の後編。前編から読む。文中一部敬称略】。 

 * * * 

ランジャタイ・国崎は「たぶん全部できるから、全部やらない」 

行進をするランジャタイと地下芸人のモダンタイムス

行進をするランジャタイと地下芸人のモダンタイムス

 番組演出の秋山直がこれまで手掛けてきた『ぼる塾のいいじゃないキッチン』では料理、『もう中学生のおグッズ!』ではタレントグッズと、番組のコンセプトとして一応の縛りがあった。だが『ランジャタイのがんばれ地上波!』にはそれがない。 

 「やっぱりやっていて苦しくなる部分が正直あったというのがひとつ。あとそもそもランジャタイさんの場合、絶対に縛りがない方がいいと思ったんです。国崎さんと伊藤さんと僕の発想で、毎回自由に違うことをやれる番組のほうが、ランジャタイさんの間口も広がるし、魅力が一番伝わるんじゃないかと思って、なんでもありの番組にしました」 

  ランジャタイは「狂気じみたボケの国崎をツッコミの伊藤が黙認するナンセンスな芸風」(『さんまのお笑い向上委員会』2022611日)などと評されることが多い。『がんばれ地上波』でもその芸風が基本的には踏襲されつつも、伊藤がボケに回ることも多く、新しい一面ものぞかせている。 

 「最初はいつものように国崎さんがボケで、伊藤さんが進行だったんですけど、やっていく中で、これはダブルボケでいいなと思ったんですよね。だから例えば、国崎さん、伊藤さんがダブルボケで、FUJIWARA・藤本(敏史)さんがツッコむみたいな形をベースに考えてます。あとは『ブチギレ王』みたいに2人が楽しむだけっていう回もありますけどね(笑)。最初のように伊藤さんが進行のときもありますし、そこは企画によって一番いい形を考えています」 

  そうした企画の中で目立つのは、国崎の万能性だ。やりたい放題ボケまくっているように見えて、実は共演者を最大限活かし、その魅力を巧みに引き出している。 

 「聞いてほしい時に聞いて欲しい人に話を振ってくれるんですよね。僕が出そうとしていたカンペを先に言ってくれる。アイドルの子があまり喋れていないタイミングで、振ってもらおうと思ってカンペを出そうとしたら『今の対決どうだった?』みたいに先に気づいて聞いてくれる。やっぱり俯瞰で見てるんでしょうね。だからたまに他の番組の会議とかでランジャタイは壊すからダメだみたいになると違うのにって思いますね。壊さないほうがいいときは壊さないですから。 

  破天荒な感じはしますけど、たぶん全部できるんですよね。全部できるからやらない。何も分からなかったら面白くない壊し方になると思うんですけど、基礎があるからどう壊したら面白くなるかわかっている。だからきっと普通に食レポとか街ブラロケもできると思うんですけど、それをあえてやらないのがカッコいい芸人さんだなと思います」 

関連記事

トピックス

長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
第一子誕生の大谷翔平、広告出演オファー殺到でスポンサー収入200億円突破も ベビー関連・ファミリー関連企業から熱視線、争奪戦早くも開始か 
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
金メダル級の演技(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』で“韋駄天おのぶ”を演じる今田美桜の俊足秘話 「元陸上部で中学校の運動会ではリレーの選手に」、ヒロイン選考オーディションでは「走りのテスト」も
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン