新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向にあり、日本医師会の理事が7月5日の記者会見で「現状は第9波と判断することが妥当だ」と指摘した。5月に5類感染症へと分類が移行したことで、コロナに対する身構え、心構えがさらに分断されている現実が浮かびあがりつつある。ライターの宮添優氏が、5類となり行政の関与が薄まったことで戸惑う人々の声をレポートする。
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街を歩けば半数以上の人がノーマスクで、もはや「コロナ禍明け」ともいわれる昨今。新型コロナウイルスは2023年5月に「5類感染症」へ移行し、様々な制限が無くなった。それ以降、居酒屋やレストラン、デパートや遊園地などのレジャー施設には人があふれ、丸3年続いたコロナ禍の鬱憤を晴らそうと、競いあっているようにさえ見える。そんな、浮き足だった世の中にも関わらず、神奈川県在住で中学三年の娘を持つ主婦・中野晴美さん(40代)は、もう何度目かの「コロナの洗礼」を受けざるを得ない状況だ。
「中3の娘のクラスが学級閉鎖になりました。コロナ感染者は、娘を含めて数名出ており、コロナかどうかは不明ながら、体調不良を訴える生徒も何人も出ている。当然、娘が入っている部活の練習も中止に。夏の最後の大会前に練習ができなくなり、娘達は”またか”とか”みんなに迷惑をかけた”と泣きじゃくっています」(中野さん)
実は中野さんの娘、小学校時代最後の大会もコロナ禍により中止を余儀なくされ、楽しみだった修学旅行や課外活動のほとんどが中止に追い込まれていた。それだけに、ほとんどの生徒、親たちが「コロナ禍は終わった」と感じていたこのタイミングで、再び部活が停止になり、娘が受けたショックは「立ち直れなくなるほど大きい」と訴える。
今さらのコロナ感染だけでなく、中野さん親子を戸惑わせたことがある。これまではあれほど感染に注意し、感染した場合は自宅内でも隔離するなどしていた新型コロナ感染が、5類移行後には隔離も必要ない、陽性者登録や健康観察も実施されないという「ギャップ」だ。