世界3大ミスコンのひとつとして有名なミス・ユニバース。世間の関心の的を集める点で世界一のミスコンといえるだろう。2023年大会からは、70年以上の歴史で初めて婚姻歴や出産経験のある女性も参加できるようになるなど、常に新しい「美しい女性像」が求められている。
8月末に日本代表が決まる本大会を控えるなかで、難病と闘いながらセミファイナリストに選出された女性もいる。ミス・ユニバース・ジャパン広島大会を勝ち抜いた松本実優さん(23)だ。松本さんは2018年に急性骨髄性白血病を発症し、2度の移植手術を経て現在も闘病中。治療のために短大を自主退学し、絶望の淵に立たされた松本さんが、抗がん剤を投与しながらもミス・ユニバース・ジャパンを目指すようになったのはなぜか。本人に話を聞いた。
──ミス・ユニバース・ジャパンに応募した経緯は何だったのですか。
「4年前に急性骨髄性白血病になって、これまで2回の移植手術をしました。今も脳脊髄と骨髄で白血病が再発している状態ですが、病状に大きな変化がなく、比較的安定した状態なので、病室、病棟で苦しんでいて同じ思いをしている方、世界中にいる治療を受けられない方に、諦めない心を届けたくて、ミス・ユニバースに応募しました。『実優なら何か世界に伝えることができるんじゃない』と友人に薦められたのがきっかけでした。
身体の異変を感じたのは、愛媛の短大に在学中のときのことでした。朝起きると脚に3、4つ痣ができて、翌日はまた違う箇所に痣ができるという日が続いて。そのうち親知らずからの出血が酷くなり、40度の熱も出て、お母さんにこんな症状がと電話したら『白血病じゃないの!?』と……(当時を思い出し涙ぐむ)。それから急いで広島に帰り、病院で採血すると『急性骨髄性白血病』と診断されました」
──そこから4年間の闘病生活が続いている。闘病はどのような様子なのか。
「兄に協力してもらい、二度の骨髄移植手術を行ないましたが、そのときは自分で水を飲む体力すらなく、点滴するだけで口の中の皮が剥げて真っ赤になりました。無菌室なので面会も制限され、1日に1人まで。ウチは母子家庭で母は毎日来てくれましたが、仕事があるのでずっといられるわけではない。在籍していた短大も自主退学し、何度も気持ちが折れそうになりましたね。
治療中には髪が抜けるので自分で丸刈りにしなきゃいけない。自分ではためらわずにできると思ってたんですけど、いざ鏡の前に立つと涙がでました。でも髪が抜けることは事前にわかっていたので、坊主にする機会もなかなかないし、頭にラインを入れたり、坊主を楽しむようにしました。
あまりに治療が辛く、点滴を抜いて『もう治療はしない』と病室から逃げ出したり、治療を拒んだりしたこともありました。そうして気持ちが折れそうになった時に助けられたのがTikTokやインスタでした。特に何をするわけじゃなくて、ベッドに立てかけて、ひたすらその様子をライブで発信してたんですけど、皆がコメントをしてくれて、病気のことにも興味を持ってくれたので、前向きになれた」