バブルの狂乱に目もくれず、特攻服をなびかせて暴れる不機嫌な不良少女たちが全国にいた30年前の日本──。そんな彼女らがポーズを決め、グラビアページに君臨していた伝説の雑誌『ティーンズロード』があった。
同誌を立ち上げた初代編集長の比嘉健二さんは、彼女たちの「活字のマブダチ」としてともに過ごした濃密な5年間と“元少女”らのいまを綴った『特攻服少女と1825日』で第29回小学館ノンフィクション大賞を受賞。
奇しくも比嘉さんが同書を上梓した7月13日、『ティーンズロード』で絶大な人気を誇った「カリスマレディース総長」であり、芸能界デビューも果たしたかおりさんの自伝『「いつ死んでもいい」本気で思ってた…』(大洋図書)が発売された。汗とほこりとバイクの爆音に彩られた「青春の日々」を2人が改めて振り返る。
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かおり:いま思うと、総長やってたあの頃がいちばん真面目だったな。
比嘉:その前に悪いことはほとんど経験済みだって言ってたからね。
かおり:家出なんて序の口で、けんかもかなりやったしシンナーで警察に捕まったこともあったし……。でも「貴族院・女族」は仲間と一緒に私が立ち上げたチームだったし、総長としてみんなを束ねる立場になると、自分がしっかりしてないと示しがつかない。
比嘉:実際、かおりちゃんみたいにレディースの中でも総長にまでなる子たちって硬派なタイプが多かった。
かおり:私だって本当は、クラブとかディスコとかに行って、わあっとやって遊びたかったけど、「総長だから硬派じゃなきゃ」と自分に言い聞かせてた。
比嘉:チームの「掟」を作るのも、総長の役割だったしね。
かおり:そうなの。シンナー厳禁、仲間を売るの厳禁、集会への遅刻厳禁……決めた私が守らないと誰もついて来ないから。
比嘉:偉いなぁ。レディースも男の暴走族も、そういうルールとか掟には厳しいんだよね。