「着物警察」という言葉があまり好きではありません
──「帯結ばない帯結び」はSNSでバスったことで拡散していきました。「簡単・可愛い・おしゃれ」を求めている人が多いことを感じます。浴衣や着物に挫折した人は、私の周りにもけっこういるので……。
でも、まだまだ、届いてほしい人に届いていないと感じています。浴衣や着物に挫折してしまった人に、こんな簡単に綺麗に着られるんだよ、ということを知ってもらいたい。「帯を結ぶのも、結ばないのも常識」「結んでも、結ばなくても、どっちでもいいやん」という感じになるのが私の理想です。
──浴衣や着物には、一家言ある人も少なくありません。「着物警察」という言葉がネットで飛び交うように、人の目が気になる人もいると思いますが、そうした状況にはどのように感じますか?
礼装すべき場所や催し、あるいは茶道の習い事のときなど、TPOを意識すべき場所では、できるだけ相手を思いやった衣服を選ぶのが素敵だと思っています。私の着付け教室でも、基本はいわゆる正統派の着付けを教えています。一方、普段、自分の楽しみのために着る着物は、自由でいいと思っています。もし、街中で何か言われたとしても、言い返すくらいの気持ちでいいんじゃないでしょうか。何も悪いことをしていませんから。
着物になると厳しくなる人が多いのは確かで、私も、着物にサンダルで京都の先斗町を歩いていたら、「なんでサンダル履いてるねん!」と、男性に言われたことがあります。もう少し皆が思いやりをもったら、着物を着るハードルが下がるのになと思いますね。
それから私は「着物警察」という言葉があまり好きではないです。警察の方は人のため、社会のために働いている職業なのに、警察という言葉を悪いイメージで使っているから。生徒さんに、旦那さんが警察官の方がいらっしゃることもあって、そう思っています。