自民党の河村建夫元官房長官(80)の長男・建一氏(47)が、次期衆院選の東京6区に日本維新の会から出馬することを明らかにし、自民党内で波紋が広がっている。この決断に関して、地元の自民党山口県連は7月21日、「強い怒りと遺憾の意を表明する」との声明文を発表した。その批判の矛先はかつて県連会長を務めた父・建夫氏にもおよび、声明文は「疑念を持たざるを得ない」と指摘している。
建一氏は2021年衆院選の比例代表北関東ブロック、2022年参院選の比例代表にいずれも自民党公認で出馬したが、落選していた。自民の大物政治家を父に持つ建一氏はなぜ今回、維新からの出馬という決断をしたのか――。記者としての振り出しが山口県だったジャーナリスト・相澤冬樹氏がレポートする。
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山口県政界の“特殊事情”
「びっくりしましたよ。自分たちで破門に等しいことをしておいて、何を今さら? という感じです」
開口一番、建一氏はそう指摘した。維新からの擁立が発表された2日後、自民党山口県連は異例の声明文を出した。父・建夫氏はもともと山口3区選出で、建一氏はその秘書をしていた。声明では、建一氏の離党と維新からの立候補表明について「余りにも身勝手」「言い訳のできない裏切り行為」と激しい言葉で非難。「県連との信頼関係を破壊する行為」とした上で「強い怒りと遺憾の意を表明します」と結んでいる。その激烈な文面が記事になると、ネット上で大きな注目を集めた。
この自民党山口県連の主張をどう受け止めているのか。当の建一氏に話を聞いた。
「もともとは2年前の衆院選で父が引退することになった時、私も地元が山口県ですから比例中国ブロックでの立候補を目指していました。そして、いったんは自民党本部から公認内定をいただいたんです。でも県連がそれに反発して党本部に文書を送った。その中で私のことを『山口県連とは何ら関わりのない候補』だと明言しているんですよ。その後、私の公認内定は覆されました。あちらから縁を切られたのだと思っています」
父親が名の通った政治家にもかかわらず、なぜそこまで地元県連から敵視されるのか?
「それは山口県政界の“特殊事情”です。県政界を差配する大物の逆鱗に父が触れたことがあって、それ以来目の敵にされています。息子の私も同じ扱いです」