岸田内閣の支持率が“ストップ安”状態だ。朝日新聞の7月世論調査は37%、共同通信が34.3%、最も高い産経新聞・FNNでも41.3%といずれも前月から5ポイント前後の急落、不支持率は各紙50%を超えた。マイナンバーカード問題の対応が後手後手で国民の怒りを買っていることが響いた。
岸田文雄・首相は挽回のために8月中にマイナ問題総点検の報告を出させ、9月の内閣改造で人事一新したうえで秋の解散・総選挙を模索すると見られている。その支持率回復の“切り札”とされているのが旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する解散命令請求だ。旧統一教会問題を長く追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏が語る。
「私の取材では文科省は8月もしくは9月に裁判所に教団の解散命令を請求する準備をほぼ整えたと見ています。これまでに6回、宗教法人法の質問権を行使して教団に資料を提出させ、現在は独自に集めた資料と合わせて解散命令の要件となる悪質性、継続性、組織性に該当するかの詰めの作業を行なっている。
最終的に裁判所に解散命令を申し立てるかどうかは岸田首相の判断になるが、首相は自ら解散命令の要件に『民法の不法行為も入り得る』と解釈を広げて本気度を示した以上、やらないという選択肢はないでしょう」
更迭されたのに公認
昨年の安倍晋三・元首相銃撃事件をきっかけに旧統一教会の異様な資金集めや教団2世などの悲惨な実態が大きな社会問題になった。
あれから1年、文科省の調査は長期化し、「手詰まり」(毎日新聞)、「慎重に検討」(NHK)という報道が目立つ。それだけに官邸には、「岸田首相が解散命令請求に踏み切れば、よくやったと支持率も上向くはずだ」(岸田側近)という期待がある。
だが、旧統一教会問題の核心は同教団の活動を見逃し、協力までしてきた政界、特に自民党との関わりだ。自民党は所属議員と教団との接点を調査し、昨年9月に追加を含めて180人の国会議員が教団との接点を持っていたと公表したが、処分は一切行なっていない。
さらに岸田首相は、教団汚染議員をこっそり免罪している。その1人が国内や海外の教団関連イベントにしばしば出席して挨拶し、選挙でも支援を受けるなど特に関係が深いと指摘された山際大志郎・前経済再生相だ。