ライフ

WHOが懸念を示した「非糖質甘味料」の健康リスク 長く摂取し続けることで依存症のようになる可能性も

ゼロカロリー(写真/PIXTA)

ゼロカロリーはなぜ危険なのか(写真/PIXTA)

 これまでにも何人もの専門家や医師が人工甘味料や糖質オフ、ゼロカロリー食品の“危険性”に警鐘を鳴らしてきたが、ついに世界保健機関(WHO)が公式見解を示した。WHO傘下の国際がん研究機関(IARC)が7月14日、人工甘味料「アスパルテーム」はヒトに対して発がん性の可能性があり、とりわけ肝臓がんは懸念が示されると発表したのだ。

 さらにIARCはアスパルテームを4段階ある発がんリスクの評価で下から2番目の「2B」に分類。これはガソリンを使用した際に出るエンジンの排気ガスや鉛などと同じレベルだ。

 2か月前の5月にも、WHOはアスパルテームのほか、スクラロースやステビアといった人工や天然の甘味料である「非糖質甘味料(NSS)」について新しいガイドラインを策定したところだ。

 体重のコントロールや非感染性疾患(NCDs)のリスクの低減にNSSは長期的な利益をもたらさず、それどころか心疾患をはじめとしたあらゆる病気のリスクが増すため使用を推奨しないとした。つまり、「ダイエットにNG」どころか病気になる可能性があるということ。WHOの相次ぐ発表に、消費者問題研究所代表の垣田達哉さんはこう話す。

「人工甘味料の健康リスクはさまざまな調査や研究データが示しており、多くの医師や研究者が指摘してきましたが、WHOのような国際機関がその危険性を正式に認めたのは重大なこと。改めてその危険性について認識し、避ける努力をすべきでしょう」

 砂糖の数百倍の甘さを持つゆえ、少ない使用量で充分な甘さを確保できるとして、これまで人工甘味料は多くの「ゼロカロリー」「糖質オフ」と謳う商品に使われてきた。しかし、米ボストン在住の内科医である大西睦子さんは「砂糖を人工甘味料に置き換えても長期的には効果がない」と言う。

「ダイエット目的で人工甘味料を使用した研究では、3か月以内であれば体重の減少に有効と出ています。しかし一方で6か月以上モニタリングした研究では、体重減少効果は確認されていないのです」(大西さん)

 WHOは長年にわたって人工甘味料を摂取した場合の健康リスクについて、その量が多いほど2型糖尿病の発症リスクは約20〜30%、脳卒中は19%、心血管疾患全体では32%増加すると分析している。さらに恐ろしいのは長期にわたる摂取によって、自分の意思とは関係なく手放せなくなるリスクが生じること。垣田さんが指摘する。

「人工甘味料はそれ自体にカロリーがほとんどないゆえに、つい多めに摂ってしまうという人も多い。しかし、甘いものはすべて依存性が高いため、カロリーが少ないからと摂取し続けると、無意識のうちに甘味を欲するようになり、最終的には依存症のような状態になります」

関連キーワード

関連記事

トピックス

小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン