ライフ

耳の老化を食い止める音楽は“クラシック” ドビュッシー作曲『月の光』がお勧め

耳の老化を防ぐ方法としてクラシック音楽も(イメージ)

耳の老化を食い止める方法としてクラシック音楽も(イメージ)

 元気に自立して過ごせる期間を「健康寿命」というが、その“延伸”に欠かせないのが「耳」の健康だ。耳の老化を防ぐには、そのメカニズムを知ることが重要だ。川越耳科学クリニック院長の坂田英明医師が言う。

「耳の内部にある『有毛細胞(音の振動を電気信号に変えて脳に伝える役割を持つ細胞)』は、感知した音を神経を通して脳に伝えるマイクのような役割の細胞です。85デシベル以上(街頭騒音レベル)の大きな音に曝されると有毛細胞は傷ついてしまい、難聴につながります。例えばドライヤーは100デシベル以上(地下鉄車内レベル)になるので、長時間使うことで耳に大きなダメージを与えます。長年、生活音に曝されているだけでも耳の老化を進行させる危険性があるのです」

 有毛細胞へダメージを与えるタイプの「音」があるわけだが、反対に耳を鍛えられるタイプの「音」もあるという。

高音域は避ける

「耳にいい音を聞くことで、老化を抑えられる可能性があります。具体的には、クラシック音楽を取り入れるのがいいでしょう」

 そう話すのは、京都精華大学教授で音響心理学を専門とする小松正史氏だ。

「人間の耳は加齢とともに2万ヘルツ程度の高い周波数の音から聞こえにくくなっていきます。ヘルツとは、音源が1秒間に揺れる回数(振動周波数)の単位で、高い音ほど値が大きくなります。2万ヘルツの音は、有毛細胞を1秒間に2万回震えさせて酷使するということで、耳によくない。シンバルがジャンジャン鳴るような高音域のハードロックなどは有毛細胞をすり減らしてしまうのです」

 人間の耳の可聴範囲は20~2万ヘルツ程度だが、50代ぐらいから8000ヘルツ以上の音が聞こえにくくなってくるとされ、高音域が強調され耳が痛くなるような音楽は歳を重ねるほど避けたほうがいいという。

 それらとは対照的なものとして小松氏が勧めるのはクラシック音楽。とりわけドビュッシー作曲『月の光』がいいという。

「ゆったりとした曲調で心を落ちつかせて有毛細胞にも優しい。さらに重要なのは音楽としての複雑さを備えているところです。オーケストラはバイオリンやビオラ、管楽器、打楽器など多数の音を組み合わせながら、様々な音色がひとつの演奏をかたちづくります。オーケストラを聴く際に、各楽器のパートを聴き分ける『音の分離』を意識すると耳を鍛えることにつながるのです。他には、モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』も複雑で、耳を鍛えられると考えられます」(小松氏)

 音楽をただ漫然と耳にするのではなく、「能動的に聴くことが重要だ」と小松氏は指摘する。

関連記事

トピックス

優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
素材はピカイチとされたが…
【オコエ瑠偉が巨人を電撃退団】「阿部監督一強体制」で反発は許されなかったか メジャー移籍は厳しい現実、“ランクを下げながら海外移籍を模索”のシナリオも
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン