2012年8月の3枚目のシングル『走れ!Bicycle』で初の選抜入り。ポジションも最後列から着々と前に出て、13枚目のシングル『今、話したい誰かがいる』(2015年10月発売)で初のフロントポジションに。更に翌年、14枚目シングル『ハルジオンが咲く頃』で遂に初センターに選ばれたのだ。
「深川は『ハルジオンが咲く頃』の前に卒業を発表していたので実質“ご祝儀”込みのセンターではあるのですが、長い歴史の中でも限られたメンバーしか務めていない乃木坂46のセンターを任されたことは大きな自信になったことでしょう」(アイドルライター)
深川は、生駒里奈(27才)、白石麻衣(30才)、西野七瀬(29才)、齋藤飛鳥(24才)ら歴代センターと比べてしまうと、どちらかといえば地味なタイプかもしれない。グループの「象徴」や「代名詞」ではなかったが、地道な活動と人柄で乃木坂46に確かな爪痕を残した。そんな深川は卒業後、大手芸能事務所へと移籍し女優の道を進んで、ファンを驚かせた。
「正直、関係者も一様に驚いていました。深川は卒業時25歳。お世辞にも演技が上手いタイプではなかった。卒業後は、芸能界から離れると思っていたスタッフも少なくありませんでした」(前出・アイドルライター)
だが、今ではNHK大河ドラマ『青天を衝け』や『特捜9』(テレビ朝日系)など多数の話題作に出演する立派な女優となった。これは現在の事務所との相性が良かったのだという。
「所属事務所は辛抱強く深川を教育しました。卒業後の時間はとにかく芝居のワークショップやトレーニングに費やし、2~3年は地上波連ドラへの出演を控えました。演技経験がほとんどない分、変な癖が付いてなかったのがよかったそうです。レッスンのたびに信じられないほど素直に教えられたことを吸収するので、確実に演技力が向上していったそうですよ。2019年のNHK連続テレビ小説『まんぷく』がブレイクの兆しを見せると、そこからオファーが続いていきました」(前出・制作会社関係者)
30歳を過ぎた今でも“聖母”の性格は変わらないという。
「誰にでも低姿勢で、常に謙虚。スタッフからの評判はとてもいいです。そもそも元アイドルということを知らない関係者も多く、性格のいい女優さんとしてすっかり現場に溶け込んでいますよ」(同前)
全く違うアイドル人生を歩んできた前田と深川。異なるスピード感で歩んできた2人の“セカンドライフ”の線と線が交わろうとしている。