長らくベテランや移籍組が主軸を担ってきた巨人打線。しかし、あの松井秀喜氏(49)の若き日の姿を彷彿とさせる期待の新星が現われた。背番号「55」を受け継いだこの男、一体どれほどの能力を秘めているのか──。元巨人で4番を打った広澤克実氏は、巨人・秋広優人(20)の打撃をこう絶賛する。
「長身を活かしたパワーと柔らかさを兼ね備えたバッティングは唯一無二のものですね。背丈がある選手は構えた時に極端な前傾姿勢を取ることが多いのですが、秋広は適度な前傾角度を維持したフォームで頭の位置が動かないため、広角に強い打球が打てている。しかもまだ若く、彼の潜在能力は底が知れません」
今シーズン、20歳ながら3番に定着し、7月23日のDeNA戦では、巨人史上初の「高卒入団3年目以下の選手で4試合連続本塁打」を記録。そんな生え抜き大砲に期待されるのが、巨人の看板選手だった“松井超え”だ。巨人番記者が語る。
「高卒3年目の秋広は今のところ10本塁打(7月26日時点、以下同)を放っていますが、松井は高卒3年目で22本を記録している。なかなか世代交代が進まなかった巨人の関係者の間では、秋広を松井を凌ぐスターにすべく、“何とか3年目の本塁打記録を超えてくれ!”という声が聞こえます」
秋広は2020年、東京・二松学舎大学附属高校からドラフト5位で巨人に入団。当時の身長は2m(現在は202cm)で日本球界最長身選手として注目を集めた。
その一方で、これまで日本球界で極端な高身長の野手は“不利だ”とされてきた。
「投手で背が高いことは長所になりますが、野手の場合はストライクゾーンが広くなるため、短所になると捉えられてきました。俊敏さに欠けるということもあり、実際にほとんどの球団のスカウトはこれまで190cm以上の野手をリストアップしてこなかった。
193cmの大谷翔平(エンゼルス、29)が二刀流で活躍したことで近年は見直されてきましたが、野手で身長2m超の秋広が結果を出せば、日本のプロ野球界の常識が塗り替えられるかもしれません」(スポーツ紙デスク)
秋広は入団1年目のオープン戦で高卒新人として1993年の松井以来となる打点やマルチ安打を記録したが、シーズン中の一軍出場は1打席にとどまった。だがその年のオフに“ゴジラ”が背負った栄光の背番号「55」を与えられたことで一躍、脚光を浴びることになる。
「しっかり努力して結果を出して、いずれは『55番は秋広』と言ってもらえるように頑張りたい」