猛暑によって体調コントロールが難しくなる夏。東京慈恵会医科大学附属病院の横尾隆医師(腎臓・高血圧内科主任教授)は、「あまり注目されませんが、血圧の変動が大きくなる夏は危険が多い」と指摘する。
「夏の暑さで発汗が増えると、体内の水分と塩分(ナトリウム)が失われて循環血液量が減り、血圧が下がりやすくなります。普段から血圧が高く降圧剤を服用する人は、薬が“効きすぎる”ことで『低血圧』になってしまうことがあるので注意が必要です」(横尾医師)
とはいえ、「夏は一切、降圧剤を飲まなくていい」という話ではない。降圧剤のなかにもタイプは様々あり、成分はもちろん、作用機序も異なる。
薬剤師の長澤育弘氏(銀座薬局代表)の監修のもと、現在、降圧剤として処方されるメジャーな薬の種類を「夏の服用」という観点から分類(別掲表)。「中止を検討」「減量を検討」「中止しない」の3種類に分けた。
まず「中止を検討」すべきなのが「利尿薬」だ。
「サイアザイド系利尿薬は体内の余分な水分などを尿として排泄し、循環血液量を減らすことで血圧を下げる薬で、むくみ改善にも使われます。加齢により体内の水分量が減っている人が、夏、脱水状態の時に服用すると、利尿作用で体内の血液量が減って血圧が下がりすぎるリスクが高まります」(長澤氏)